HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Petter


‘03年にリリースした ’These Days’ が James Holden コンパイルによる ”Balance005 “ に収録されたことで、James 率いるレーベル Border Community ファンの間で一気にその知名度を上げたスウェーデン出身のアーティスト Petter こと Petter Nordkvist が待望の初来日を果たした。

今年の7月に Border Community からリリースした ”Some Poliphony” 以降、DJ オファーが耐えなくなったという Petter 。名実共に売れっ子アーティストになりながらも、今年の3月にマイアミで話した時と全く変わらないフレンドリーな様子で HigherFrequency のインタビューに応えてくれた。

> Interview by Nick Lawrence (HigherFrequency) _ Translation by Terumi Tsuji _ Introduction by Kei Tajima (HigherFrequency)

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HigherFrequency (HRFQ) : 時差ボケは大丈夫ですか?

Petter : うん、大丈夫だよ。この数日あんまり寝てないけど、もともと睡眠時間はバラバラだし全然平気さ。

HRFQ : ツアー中にも曲を作ったりするんですか?

Petter : ほとんどしないな。アイディアを練ったりすることはあるけど、キチンとした曲作りをすることはないよ。飛行機の中は PC の電源を確保するのが難しいし、それに曲を作るにはうるさすぎるね。

HRFQ : ‘03年の ‘These Days’ リリース以降、生活が慌ただしくなったのでは?ギグの数は一気に増えたんでしょうか、それとも少しずつ多くなって行った感じですか?

Petter : うーん、どちらかと言うとスローだったかな。’These Days’のリリースの後は、 Border Community のイベントでたまにプレイすることはあったけど、それほど生活に変わりなかったよ。’Six Songs EP’ がリリースになった後もまだ結構落ち着いてて、 Border Communiy 関連のイベントに出るくらいだったんだ。ところが今年の夏に ’Some Polyphony’ がリリースになった途端、一気に忙しくなったんだ。 Border Community の知名度が一気に上がって、最初の1週間だけでギグのオファーが10本も来たんだ!!まったくクレイジーだったよ。でも正直なところ、そんなにがむしゃらにプレイしたくないんだ。今思うと ’Six Songs EP’ の後くらいが丁度良かったかな。当時は月に2?3回ヨーロッパの国々でプレイするくらいだったから。もちろん、こうやってツアーに出るのも楽しいけどね。

HRFQ : ‘Six Songs EP’ の頃はヨーロッパを中心にプレイしていたんですか?

Petter : うん、ほとんどがヨーロッパだったね。でもロシアには行ったことがあるよ。たしかあれは’04年だったかな。大きなスポンサーが付いたイベントだったみたいで、とても変わったイベントだったんだ。会場の誰1人僕のことなんて知らなかったと思うよ。

HRFQ : 今年の始め行われたマイアミの WMC では、James Holden とホテルの部屋をシェアされてましたよね?Border Community のアーティストとは仲がいいんですか?それともどちらかというと仕事上の関係ですか?

Petter : 彼らとは仲が良いから一緒にいるとすごく楽しいよ。マイアミでは James と James の彼女の Gemma と一緒の部屋に泊まったんだ。少し窮屈だったけど、とても楽しい時間を過ごせたね。 James や Nathan も Border Community Night が大好きだよ。ちょっとした同窓会みたいで楽しいんだ。それに Border Community が好きな人ばかりがあつまるから、クラウドに合わせてプレイする必要もないしね。

HRFQ : 数ヶ月前に Nathan Fake のアルバムがリリースになって、Jamesももうすぐニュー・アルバムを出す予定ですね。あなたは…?

Petter : (笑)今の所アルバムを出す予定はまだないんだ。ダンス・ミュージックのアルバムを作るのか、それともまったく別物にするか悩んでるところさ。いつかアルバムを出したいと思ってるけど、 Border Community からリリースするかはまだ分からないよ。

HRFQ : Nathan Fake も最初はフロア・ライクなダンストラックを作っていましたが、アルバムはダンス・アルバムからはかけ離れていましたよね。あなたも同じようなアイディアをお持ちですか?

Petter : ダンス・ミュージックじゃない曲も作ってるけど、その殆どがまだ未完成なんだ。踊れる曲じゃないし、かといってホームリスニングっぽい音でもなくってね。どの方向に持っていくか試行錯誤中なんだけど、最終的にはダンスとチルの中間に出来ればいいな。他にも色々アイディアはあるから、いつか(アルバムを)リリースしたいね。

HRFQ : あなたと Ozgur Can は同級生だとお聞きしました。彼と一緒に曲作りをする予定はありますか?

Petter : 過去に何度かトライしたんだけど、お互い頑固で自分の意見を曲げようとしなかったから上手く行かなかったよ。彼と一緒にDJをするのは楽しいけど、プロデュースをすることは今の所考えてないよ。

Petter Interview

HRFQ : DJプレイをすることも多いんですか?

Petter : オーストラリアではライブとDJの両方したよ。まず始めにライブをやって、その後にDJセットをプレイしたんだ。オーストラリアでの初日はシドニーだったんだけど、僕の出番の5分前にコンピューターが動かなくなっちゃったんだ。だから急遽4時間のDJロングセットに変更したんだけど、とても楽しかったよ。最近はライブ・セットだけの場合が多いけど、DJするのも好きなんだ。

HRFQ : 曲作りを始めた頃、将来ライブ・パフォーマンスをすることをイメージされていましたか?

Petter : 全然想像してなかったよ。 Nathan のライブに衝撃を受けて、僕もライブをしようと思ったんだ。でもライブ用に曲を作ったことは1度もないんだよね。ライブをするとなるとアレンジやらセッティングやら色々大変だよ。

HRFQ : でもとても良い感じに仕上がってると思いますよ。

Petter : ありがとう。僕もそう思うよ。でもこの6ヶ月ほとんど同じセットをやってるから、ちょっと飽きて来てるんだ。新しい曲を作りたいと思ってるんだけど、時間がなくって。いつかはやらなきゃいけないんだけど(笑)

HRFQ : 近々リリースの予定はありますか?

Petter : 夏に John Dahlback のレーベル Pickdoll から EP をリリースする予定だったんだ。曲自体はほぼ完成していて、後はちょっと手直しを加えるだけなんだけどね…。 John にも早く完成させてくれって言われてるんだけど、なんだかその気になれなくてさ。だからそのトラックがいつリリースになるかはまだ未定なんだ。

HRFQ : それは Thunderpants 名義でのリリースですか?

Petter : いや、 Petter としての曲だよ。そういえば、 Thunderpants の片割れの Harald Bjork が Traum と契約したんだ。既に3曲程リリースが決まってるみたいだよ。凄いよね!!

HRFQ : これからも2人で活動をしていくつもりですか?それとも Harald が Traum と契約したということは、今後はお互いソロ活動に専念する予定ですか?

Petter : 彼とはこれからも一緒に仕事をしたいと思ってるよ。ただ彼は違う街の大学に通っていて、今は時間を作るのが難しい状態なんだ。でもまた落ち着いたら一緒に曲作りをするつもりさ。

HRFQ : Harald や John Dahlback とはどうやって知り合ったのですか?

Petter : Haraldとは子供の時から友達なんだ。 John とは音楽繋がりの友達を通じて知り合ったんだ。ストックホルムのテクノ・シーンに携わってるアーティストは、ほぼ全員知り合いみたいな感じさ。 Adam Beyer とか Joel Mull とか、みんないい 人ばかりだよ。実はストックホルム在住のプロデューサーが集まるプライベート・コミュニティーがあって、そこのネット掲示板を使ってみんな意見交換をしたりしてるんだ。

HRFQ : スウェーデン以外の国に住もうと思ったことはありますか?

Petter : 実は1年半ほど前にドイツに引っ越したんだけど、ちょっとしたホームシックにかかって今年の5月にストックホルムに戻って来たんだ。最初は夏の間だけストックホルムにいるつもりだったんだけど、すごく素敵な時間が過ごせたからこのまま残ることにしたんだ。ストックホルムが大好きだから、他の国に移住することは今後もないと思うよ。

HRFQ : たくさんのアーティストがベルリンに引っ越してますよね。

Petter : そうだね。僕も Harald と一緒にベルリンに行ったんけど、あの街ではアパートがとても安く手に入るんだ。大半が分譲アパートだけど、でも安くていい物件はすぐに見つかるよ。僕はストックホルムに戻って来ちゃたから、もう買う必要はないけどね。

HRFQ : 私たちから見ればストックホルムもかなりクールな街ですよ。

Petter : 本当?そんなにクールじゃないけど、とても素敵な所だよ。夏は暖かくて過ごしやすいけど、冬はとっても寒いんだ。

HRFQ : あなたのような素晴らしいアーティストは、スウェーデンだからこそ生まれたんだと思いますか?

Petter : それはどうかな。僕の育った家は、ストックホルムの中心から10分位の場所だったにも関わらず、自然に囲まれた森の中にあったんだ。ストックホルム出身のアーティストの殆どが、僕と同じように自然の中で育ってると思うよ。うーん、何が言いたいの分からなくなって来ちゃった(笑)他のアーティストが今までどんな物から影響を受けて来たかはよく分からないけど、ストックホルムに住むテクノ・アーティストはみんなとても仲がいいんだ。10年以上お互いの事を知ってるから、アイディアを交換し合ったりしてるのさ。

HRFQ : シーンの中で意見を交換し合うことは非常に大切なようですね。少なくともベルリンはそんな感じだと聞いています。

Petter : そうだね。でもベルリンではみんなアイディアをシェアしすぎだよ。だからベルリンの音は全部同じなんだ。

HRFQ : スウェーデンは違いますか?

Petter : うん、スウェーデンは全然違うよ(笑)

End of the interview


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