HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Pako & Frederik Interview with Jonty Skrufff


「イギリスを除いて、これほどまでクラブ・ミュージックが受け入れられている国はオランダの他に無いんじゃないかな。例えば、Dancevalley は毎年決まって朝8時のニュースで報じられるんだ。何か問題が起こるからじゃないよ。ただ Dancevalley が開催されることが、この国では大きなニュースとして扱われているんだ。それにオランダは他と比べてドラッグに対する法律がそこまで厳しくないから、ダンス・シーンやパーティーが非難されることも少ないしね。実際、他の国と違って、オランダでは必ずしもダンス・ミュージックがドラッグのための音楽であると思われてないんだ」

同じくオランダ人アーティストの Tiesto ほど有名ではないものの、Frederik Borgesius と Sekander Raisani の二人はオランダのエレクトロニック・ミュージック・シーンの大黒柱的役割を果たしている人物と言えるだろう。'93年にユニットとしての活動をスタートしてからというもの、A クラスの DJ からもサポートされる良質なトランス〜プログレッシヴ・ハウス系トラックをコンスタントにリリースし続け、'96年には自身のレーベル Majestic Music を設立。Bedrock や Global Underground といったレーベルからトラックをリリースすることでその地位を確立し、最近では Sitrep と Taboo Records (ディスコ系のトラックをリリースするレーベル)という2つの新しいレーベルを旗揚げした。この2つのレーベルを立ち上げた理由は、ウェブの力に目をつけたずる賢い地元の人々のためだと二人は語る。

「オランダの北部にある Friesland という町の農場主の一部が、Majestic という名前に文句をつけるようになってね。彼らは理解不能の言葉を話すから、彼らと話し合いをするのは大変だったよ。だからその名前をやめて、新しい名前をつけることにしたんだ」

以下は対談形式でのインタビューの模様をお伝えする。
(Translation by Kei Tajima)

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Skrufff (Jonty Skrufff) : Todd Terry は先日のインタビューで、最近では DJ としてのブッキングを得るためだけにレコードを出していると言っていましたが、これについてどう思われますか?

Pako & Frederik : 最近の流れとしてはそうだよね。ただレコード・レーベルを DJ の宣伝ツールとして使うのはおかしいと思うな。例えば、まだ Todd Terry のように DJ ギグで大金を稼ぐことが出来ない18歳の学生がどうやって利益が出ないことを前提に12インチのデビュー作をリリース出来るんだい?一方で、最近のアーティストは、大金をはたいてレコードをプレスしなくてもオンラインで楽曲を売ることも出来るんだ。数年前までアーティストの卵が始めてのレコードをリリースするには、相当な金額を集めなきゃならなかったのにね。だから今の方が昔と比べて新人が注目を受ける可能性は高いと思うよ。

ここ5年間でのシーンの激変振りは確かに異様だけど、いい方向に変化してると思うんだ。初期のハウス・ミュージック・シーンが持っていたような "Do It Yourself - 自分でやれ "の姿勢とマッチしているしね。例えば、'80年代にシカゴ・ハウスが生まれて、楽器も弾けないような DJ がレコードをリリース出来るようになった…もちろん、これは '70年代のディスコ・シーンにもあったことかもしれないけど、ハウス・シーンではそういうことがもっと頻繁に行われていたんだ。だから、'80年代には大きなレーベルよりも小さいレーベルが重要視されていたのさ。一方、最近は父親のラップトップを使って素晴しい曲をつくっているような子供が、レコードをプレスするために小さなインディー・レーベルを見つけなくても、活動を続けることができる。だから商業的に見ると小さなインディー・レーベルには難しい時代だよね。でも、アーティストが音楽をリリースし続けるためには、彼らの存在は不可欠なんだ。

Skrufff : あなた方のバイオに、ニュー・シングル 'Complete Nansensu' にはリスナーの近隣に警察を呼ばせる要素があると書かれていましたが、実際に DJ をしていて警察を呼ばれたことはありますか?

Pako & Frederik : ちょうど先週ハーグで (John) Digweed がプレイしたんだけど、そのアフター・パーティーをしていてね。かなりの音が出ていたし、騒音もあって、叫び声もうるさかった。しかもそこにいた仲間のうちの2人が大声で夫婦喧嘩を派手にやっていてね。それが近隣の人々を怒らせたみたいで、警察を呼ばれたというわけさ。それから5分後には家に警察が到着して、中に入ろうとしたんだけど、その家の女主人が勇敢にも家に入ることを拒否してね。でも、それからしばらくして、警察はまるで復讐でもするかのように地域の重要人物の署名や判子のついた捜索令状をちらつかせて帰って来て、強引に家の中に入って来たんだ。もちろんこの時点で僕たちはおとなしくテーブルの周りに腰を下ろして(もちろん足跡は拭き去った後)、Barry Manilow を聴きながらスクラブルをして遊んでいたけどね。さっきの警察に対する態度の悪さから結局家の女主人は警察に連れて行かれてしまったんだけど、どうやら彼らは大のスクラブル・ファンだったようなんだ。だから彼女は10分もしないうちに帰ってきて、ゲームを続けられたのさ。

Skrufff : あなた方も以前より年を重ねて、さらに賢く(?)なったわけですが、近隣に対する迷惑行為について考えは変わりましたか?Pako 、あなたはまだグラフィティをされているんですか?

Pako & Frederik (Frederik): そうだね。以前よりかは年をとったさ。でも成長してるようには思えないな。今でも通常のギグの後に誰かの家でマラソン・セットをプレイすることが結構あるしね。 そうやって自然に起こったギグが素晴しいパーティーになることも少なくないんだ。

Pako & Frederik (Pako):どんなグラフィティも好きだよ。最近では、ダンス・ミュージックと同じように、アンダーグラウンドから発生してきたものはすべてアートとして見られるようになったよね。'80〜'90年代からシーンで活躍して名を上げてきたアーティストが、最近になって真剣なアーティストとして見られるようになったのは素晴らしいことだと思うよ。ギャラリーもビデオ・クリップもコマーシャルも、彼らの作品で溢れているしね。

Pako & Frederik Interview with Jonty Skrufff

Skrufff : オランダ人 DJ の Tiesto はここ数年で世界で最も有名な DJ になることに成功しましたね。その他にもオランダ出身の DJ には、Ferry Corsten やあなた方、Armin Van Buuren、Marco Vといったアーティストがいますが、なぜこれほどまでに多くの DJ がオランダから生まれているのでしょうか?

Pako & Frederik : いろいろな理由があると思うよ。世界的なレベルで考えると、オランダには独立して持てるほど大きなシーンが無いんだろうね。他のヨーロッパの国々のように、自給自足が出来ないんだ。だから海外の人々と協力して活動することは普通のことなのかもしれないね。それに、もしかすると、小さな国出身だという事実があるからこそ、海外に出て行きやすいのかもしれない(一歩間違えばドイツやベルギーに行ってしまうかもしれないけどね)。オランダの学校ではいろいろな国の言葉を教えてくれるからそれも手伝ってるんじゃないかな。それこそ間違ってドイツに着いてしまった時なんかは、早く帰り道を教えてもらいたいだろうからね。

Skrufff : プレスはここ数年の間オランダにおけるイスラム教信者の移民問題や文化融合に関するニュースで溢れていますが、過去10年で状況はどのように変化しましたか?

Pako & Frederik : オランダは変わったよ。それでもまだ自由な国だとは思うけど、'80年代の頃ほど自由で前進的ではないね。とは言っても、あの頃のオランダは他の国に対して大言を吐いてばかりいたから、今の海外メディアはオランダに厳しいのかもしれないな。例えば、常に人に対して「しちゃいけない」って言ってたことを自分がしてしまったら、その一回のミスをずっと責め続けられることになるんだ。'80年代の間、オランダはずっと賢いフリをしてた。だから今厳しい目で見られるのはしょうがないのかもしれないね。当のオランダ人だって政府には批判的なくらいなんだから問題ないよ。

Skrufff : 最近急激に DJ デュオが増えてきたのは何故でしょうか?

Pako & Frederik : 一人で旅して、空港のラウンジで何時間も待つのは退屈だからじゃないかな。

Skrufff : Sitrepの他に 新しく Taboo というレーベルをラウンチされましたが、あなた方にとって「タブーなこと」があれば教えてください。

Pako & Frederik : タブーなんてないさ。僕たちはオランダ人だってこと覚えてるよね?

Skrufff : DJ 文化とは常に悪名高いほどの誘惑に満ちているものですが、あなた方が今までに体験した最も贅沢な出来事とは何でしたか?

Pako & Frederik : ブラジルで、 100フィートの高さもあるヨットに乗ってのんびりしたこと…カンクーンでの13時間セット…2500ドルも飲み代に使ったこと…ドミニカ共和国での素晴しいサンセット…こういったこと全て僕らには贅沢なんだ。僕らは所詮普通の人間なのさ。

End of the interview

 



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