音楽的に圧倒的に層の厚い大英帝国にあり、特にアーティスティックで幅が広く深い音楽好きが集まる街として知られるスコットランドの都市グラスゴー。そんなグラスゴーで毎週日曜日、1000人のクラバーでびっちり埋まる、自らの名前と同じ名前のパーティで欠かさずレジデントを務めているのが Optimo の JD Twitch と JG Wilkes の二人である。
03年に Ivan Smaghhe の参加でも知られる Tigersushi のミックスCDシリーズ "How To Kill The DJ" のコンパイラーとして抜擢され、地元グラスゴーで毎週千人以上を集めるレジデント・パーティーを開催するなどで人気急上昇中の Optimo。そんな彼らが、6月17日に東京・西麻布の Space Lab Yellow にて来日公演を行い、幅広い選曲とエクレクティックな感性を日本のクラバーたちに披露してくれることになった。HigherFrequency では、彼らの直前の声をインタビューとして入手、ここにその内容を掲載する。
> Translation : Kei Tajima (HigherFrequency) _ Introduction : H.Nakamura (HigherFrequency)
HigherFrequency (以下HRFQ) : 日本のクラブ・シーンに対してどんな印象をお持ちですか?
Optimo : 初来日の時は、日本のクラウドが信じられないくらい熱狂的で、音楽に詳しいと感じたね。すごく楽しかったよ。
HRFQ : あなたがダンス・ミュージック・シーンにおいて果たしている役割とは何だと思われますか?
Optimo : 一般にダンス・ミュージックと分類されない音楽でも、踊ることが出来る音楽になり得るということ、同じスタイルやテンポの音楽を一晩中プレイする必要は無いということを人々に対して表現できていれば嬉しいよ。
HRFQ : 10〜20年後もDJを続けていると思われますか?
Optimo : そう願ってはいるさ。今までにDJしかやってきていないし、ほかの仕事をしている自分はあまり想像できないよ。ただ、人々が10〜20年後も僕のDJを聴きたがるかはまた別の問題だと思うし、僕もその頃には耳が聞こえなくなってるかもしれないね。
HRFQ : では、もしあなたがDJを続けていないとすれば、他にどんな仕事をしていると思いますか?
Optimo : 何にせよ、音楽に関係した仕事だと思うよ。
HRFQ : もし、DJを続けているとすれば、どんなDJスタイルになっていると思われますか?
Optimo : さらにいろいろなタイプの音楽を組み込んだものになっていればいいな。テクノロジーの視点から言うと、ここ2・3年のめざましい発達を考えると、あと20年後にどれほど進んでいるのかを考えるのはすごく難しいね。ここ最近のテクノロジーの発達のおかげで、僕のDJスタイルも随分と変化したし…。それを考えるとすごくエキサイティングだし、今後さらに発達していくテクノロジーをセットに取り込んで、使ってみるのがすごく楽しみだよ。
HRFQ : 誕生してから20年が過ぎた今、ハウス・ミュージックは成長を続けていると思われますか?
Optimo : もちろんハウス・シーンにもクリエイティヴなアーティストはたくさんいるし、興味深いトラックもたくさんある。でも、それよりつまらない、機械的につくっただけの古くさいハウス・ミュージックが以前より多くなっているのも事実なんだ。それでもハウスは大好きだよ。でもやっぱり一晩中は聴けないかな。
HRFQ : あなたにとってDJの醍醐味とは?
Optimo : 大好きな音楽を人とシェアして、その音楽で人が反応するのをみること。それこそ一生飽きることがない素晴らしい経験だね。
HRFQ : 最近、"ダンス・ミュージック"と"クラブ・ミュージック"の間の境界線が次第に薄くなって来ていると感じますか?この二つを分けて表現することに意義はありますか?
Optimo : グラスゴーのクラブ・シーンにおいて、"ライヴ"の要素はすごく重要なものなんだ。何のパフォーマンス性もなかった以前までのクラブには僕自身も飽き飽きしていたし、オーディエンスが目で見て、楽しめるようなエキサイティングな何かを取り入れたかった。だから僕たちのパーティーにはバンドしかブッキングをしないのさ。
世間一般で"ダンス・ミュージック"と"クラブ・ミュージック"の融合が始まっているかは分からないけど、グラスゴーでは間違いなく始まっていると言えるだろうね。ただ、この二つを分けて表現することにどのくらい意義があるかは僕にもわからないな。そもそも僕にとっては全部同じ音楽だからね。
HRFQ : 今までのDJキャリアの中で経験した最高の出来事と最悪の出来事を教えてください。
Optimo : ベストな出来事といえば、やっぱり僕たちのパーティー Optimoで、たくさんの人々が楽しんでいる光景を目にすることかな。グラスゴーのこのパーティーは僕たちにとって一番大切なものだし、8年近く続けているのにも関わらず、パーティーが未だにフレッシュで、エキサイティングだっていうことがすごく嬉しいんだ。
最悪の出来事は、DJのことをきちんとケアしないプロモーターや、サウンド・システムが原因で起こったハプニングかな。昨年パリで何千人っていう観客の前でプレイする機会があったんだけど、僕たちの前にバンドがプレイしていて、その時のサウンドは素晴らしかったんだ。でも、僕たちがステージに上がった途端、システムがおかしくなって、一時間も音が出なかったんだよ!ほとんどのオーディエンスが僕らのミスだと勘違いしたらしくて、野次を飛ばされたりしたんだ。あれは最悪だったよ。
HRFQ : ニュー・アルバムは以前の作品と、どのような点で異なりますか?
Optimo : 今までの作品はミックスに力を入れたものだったから、トラック自体はたくさん入っていても、すぐ次のトラックとミックスされてしまっていたんだ。だから、今回はミックスよりもトラックに重点を置いて、もっとトラックを長く聴いてもらえるような作品にしたくて。それに、作品にも、もっと統一したテーマを持たせたかった。少しサイケデリックな感じのするテーマをね。だから確かにこのCDには様々なジャンルの音楽が入っているんだけど、もしかすると収録されている全てのトラックが似たコンセプトから生まれたものなのかもしれないな。
End of the interview
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