HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Meat Katie


先日リリースされた人気コンピレーション・シリーズ ‘Fabriclive21’をコンパイルし、最近ではその脂の乗りきった音楽センスでブレイクス・ファンのみならず多くのダンス・ミュージック・ファンを魅了しているDJ/プロデューサー Meat Katie。

昨年10月に行われ、好評を博したHyperとの競演から約半年、待望の再来日公演が渋谷WOMBにて行われることとなった。‘Fabriclive21’リリース後の絶妙なタイミングということもあり、かなりの注目が集まりそうな今回のギグを目前にして、HigherFrequencyのイギリス在住スタッフであり、samurai.fmを主宰するMatt Cheethamが、リリース・ツアーを目前に控えたMeat KatieことMark Pemberと接触。ブレイクスDJ/プロデューサーとしてのキャリア、ブレイクス・シーン、そしてElite Forceと共に取り組んでいるという最新アルバムにまで及んで話を訊くことが出来た。

> Interview : Matt Cheetham (samurai.fm) _ Translation & Introduction : Kei Tajima (HigherFrequency) _ Photo : Mark Oxley (HigherFrequency)

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Samurai fm (以下sfm) : マーク、今日は貴重な時間をありがとうございます。調子はどうですか?

Meat Katie (以下MK) :すごくいいよ。

sfm : それでは、まずあなたがどうやって "ブレイクビーツ"に傾倒していったのか、その音楽経緯から教えていただけますか?

MK : まずはバンドを組むことから始めたんだ。僕と同年代の大体の人がそうであるように、僕が一番初めにのめり込んだ音楽はヒップ・ホップ。ヒップ・ホップを聴くようになって、壁にグラフィティーをしたりして…っていう感じだったね。それからファンクのレコードを集めるようになって、ヒップ・ホップのアーティストが使ってるような、かっこいいビートが好きで、最終的には徐々にファンク・ジャズやソウルにハマっていったというわけ。

そうやってレコード・コレクションを増やしていきながら、ベースの演奏を覚えていったんだ。それで、バンドを組もうと思って始めたのさ。話せば長いからこのあたりは省略するけど、とにかくそのバンドに入って、出来るだけのことはやってみたよ。'the straw which broke the donkeys back'っていう3ピースのスケート・パンク・バンドだったんだけど、ヴォーカルが抜けてしまって、リズム隊だけが残ったんだ。ちょうどそれと同じくらいの時期に、'AKS 1000'が出てきて…いや、あれは'AKS 950'だったかな?友達がサンプリングを教えてくれて、サンプラーがあればメンバーがいなくても一人でバンドと同じことが出来るって気付いたのさ。で、僕のファンクやソウル、レア・グルーヴのレコード・コレクションの中には使えるビートが山ほどあったから、次第に初期のブレイクビーツや、いろいろな要素をサンプリングするようになって、ちょうどビッグ・ビートが世に出てきた頃、僕たちも'Wall of Sound'と契約をすることになったんだ。

結局バンドは解散してしまったんだけど、僕はDerek De largeって奴と、今はDubPistols として活躍してるJason O'Brianっていう奴と一緒に音をつくるようになっていた。だけど、ある日突然Derek De Largeが僕たちをグループから外してね。少し名前が出るようになって、うぬぼれたんだろうけど、僕たち抜きでDJをしに行ったり、インタビューを受けたりするようになったんだ。まるでプロジェクトには他の人間も関わっていたってことを忘れてしまったかのようにね。 だから、ちょうどシーンの人気も上がり調子になってきた頃だったんだけど、このプロジェクトからも身を引くことにして、また一からやり直すことにしたんだ。Meat Katieとして活動し始めたのはその時だよ。僕の友達でレコード・ショップを運営してる奴らがいて、彼らがちょうどレーベルをつくりたがっていたんだ。そうして出来たのが'King Size Records'というわけ。だから彼らとはかれこれ10年来の付き合いになるよ。

sfm : 近年、ブレイクビーツ・シーンは、イギリス国内に限らず世界的にも爆発的な人気をみせていると思います。ビッグ・ビートがそうなってしまったように、一時の流行だけで消えてしまわないためには何が必要だと思われますか?

MK : う〜ん…そうだね。ビッグ・ビートは大きく騒がれすぎたんだと思うよ。たくさん宣伝されて、大勢のプレスがシーンに関わっていた。ニュー・スクール・ブレイクスにだって同じことが起こったでしょ?プレスがさんざん騒ぎ立てて、ある日突然みんなが「ニュー・スクール・ブレイクスっていいね!」って騒ぎ出したのさ。でも、よく考えてみたらビッグ・ビートとか、ニュー・スクール・ブレイクスのプロデューサーって少ししかいなかったんだよね。だから新しい音楽もリリースされてこなかったし、音楽が出てこないから、みんな同じ音楽ばかりプレイしてた。それじゃあ消えてしまうのは当たり前だよ。

一方、ブレイクビーツ・シーンには爆発的なブームを維持させるだけの十分なプロデューサーやDJ、イベントやマガジン、ウエブ・サイトがあるし、これからもシーンを大きくしていける要素は十分にあると思うんだ。だからこれからもどんどん成長していくのは明らかだし、僕だって成長していって欲しいと思ってる。人気が爆発したって構わないけど、僕は今のままのゆっくり成長していく状態が続いてくれるのが一番だと思ってるんだ。シーンはゆっくり、自然に大きくなってすごくいい方向に向かってるよ。あまり言い過ぎると運が尽きちゃうような気がするけど、最近ブレイクビーツのパーティーに来る人の数がすごく増えてて、本当に信じられないくらいなんだ。すごく嬉しいことだよ。

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sfm : 昨年の秋にHumに行った時は、確か7〜800人くらい入っていたと思うのですが、2ヶ月前に行った時はその倍以上の、2000人は入っていましたよね。すごく驚いてしまったのですが、何が起こったのかは分からないですが、一気に爆発した感じですね。

MK : そうだね…確かに成長しているイベントだよ。'Night Hum'は僕とRennie (Pilgrem)でやってるイベントなんだけど、最近ではマイアミやサンフランシスコでHumをやらないかっていう誘いも来ているんだ。実際にベルリンでやったことがあるんだけど、その時もすごく上手く行ったしね。僕たちはいつも自然体で、特に計画的にビジネス・プランを立ててやってきたわけでもないから、こういうのは嬉しいことだよ。ただ好きな音楽を紹介して、好きな音楽をつくって、DJして楽しいことをやってるだけなんだからね。

sfm : 最近Fabric Liveシリーズの次回作を手がけられたわけですが、なぜFabricはイギリスのブレイクビーツ・シーンにおいて欠かせない存在なのだと思われますか?あなたがFabricでプレイするのが好きな理由を教えてください。

MK : そうだね。Fabricは比較的初期のことからブレイクビーツをサポートしてきたクラブの一つなんだ。ブッキングを担当してるSteveは、Fabricが出来るずっと前からブレイクビーツを宣伝してきたしね。彼のことを褒めすぎるつもりはないけど、彼は本当にはじめからシーンに関わっている人間で、僕がWall of Soundから曲をリリースしていた時には、Steveは既にブレイクビーツを宣伝してたんだ。だから軽く12〜5年はシーンに関わっているわけさ。ほとんどの人が知らない話なんだけど、Fabricがオープンしてから、あの大きいクラブにブレイクスを運んできて流行らせたのは彼なんだ。最近の'Eargasm'なんて素晴らしいよ。まだ11時なのに、フロアに入ることも出来ないくらい混んでるし…いい意味ですごくショッキングだよ。 だから、ブレイクスがここまで大きくなったのには、彼が一役かっているということさ。それに、もちろんFabricのサウンド・システムも忘れちゃいけないね。爆音だけど、すごくクリアに音が聴こえるんだ。

sfm : 現在Elite Forceと共に、3rdアルバムを制作しているということですが、進行状況の方はいかがですか?

MK :上手く行ってるよ。7〜8曲くらいは完成したかな。来週はまる一週間スタジオに入って、ヴォーカル・トラックを数曲完成させるつもりなんだ。だいたい10月までには完成させたいね。それからはライブ・セットのほうに力を入れていくよ。全部自分たちでやってみるつもりなんだ。

sfm : どんなソフトウェアを使っているんですか?

MK : Elite ForceはCubaseだけど、僕はLogic 7、Logic Proを使っていて、この組み合わせがちょうどいいんだ。AbletonやReasonだと、お互いのアイデアがぶつかり合ってしまうんだよね。ケントにあるElite Forceのスタジオでレコーディングをしてるんだけど、彼はそこに農園を持っていて、散歩ができたりするんだ。僕は農園が大好きだから嬉しいよ。今回のアルバムでは、Roland Clarkに歌ってもらった曲が3曲あって、Pete Simpsonにも歌ってもらってるし、Saffron Hillの曲もあって、他にもアプローチしているヴォーカリストが何人かいるんだ。僕の今までの作品を気に入ってくれてる人だったら、今回のアルバムも気に入ってくれると思うよ。今までにはなかった新しい要素もたくさん入ってるけどね。

Sfm : ブレイクビーツ・シーンではアーティスト同士のコラボレーションが非常に多く見られると思うのですが、それはどうしてだと思われますか?

MK : そうだね。ブレイクビーツのコミュニティーはすごく小さいし、比較的ロンドン周辺に集まっているからかな。もちろん世界中のどこにもシーンはあるんだけど、ロンドンには活気のあるプロデューサーが特に多い気がするんだ。しかもやっぱり長い間シーンが存在しているから、プロデューサー同士が顔なじみだっていうこともあるしね。なかなか表に出る機会が少ないバック・ルームDJ/プロデューサーとして一緒に頑張ってきた仲間のことも、突然注目されるようになるずっと前から知っていたわけだし。だから僕たちにしてみれば、ただ自然に友達とつるんでいるような感覚で曲を書いたり、一緒に何かやっているというだけなんだ。

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Sfm : 今までにコラボレーションをしたことのないアーティストで、一緒に仕事をしてみたい人はいますか?

MK : ブレイクビーツ・シーンでは…どうだろう…今はAquaskyと一緒に仕事をしてて、彼らの次のアルバムのためにいろいろとやってる。それに、Breakfastersの大ファンだから何かやりたいな。DJ Questもいいね。あとはわからないな…いろんなタイプのプロデューサーが好きだから。ブレイクビーツ・シーン以外のアーティストと一緒に仕事をしてみて、どんなことが出来るかみてみたいね。それと、僕はRadioActive Manの大ファンなんだけど、Keithのことは僕がバンドにいたときから知っていたんだ。Jasonが紹介してくれたんだけど、彼はKeithと一緒にバンドをやっていて、僕はKeithのガールフレンドのNadiaと一緒にバンドをやっていたって感じでね。ちょっと内輪な感じだけど、Keithのスタイルはすごくオリジナルだし、音もすごく好きなんだ。他はTim Wrightとかすごく好きだな。エレクトロニカのプロデューサーには一緒に仕事してみたい人がたくさんいるな。

sfm : あなたのレーベル Lot 49の今年の動きを教えていただけますか?

MK : そうだね。結構リリースがあるよ。今年の8月まで、3週間に一回のペースでリリースが続いていって、それからまた新しい楽曲に契約をしていく感じかな。でも、とりあえず8月まではかなりのリリース量があって、Coma & BonesのトラックやBreakfastersのリミックス・トラック、Vandal のトラックのAudioFlyリミックスに、Elite Forceのトラックや、PMTのリミックス・トラックもあるし…他には、新しく契約したMetricっていうアーティストのトラックと、そのトラックのQuesta Mutinyリミックスをリリースするんだ。Deep Impactのリリースもあるし、僕とDylan Rhymesでやったリミックスもあるし…まだトラック・ダウンは終わってないんだけどね。レーベルにはいいアーティストにどんどん関わってもらおうと思ってるんだ。

sfm : 今年もイギリス国内だけでなく世界中のショーに引っ張りだこの年になりそうですね。その中で、特に楽しみしているイベントはありますか?

MK : とにかく週末が楽しみ。毎週末どこかでプレイするのをすごく楽しみに思ってるんだ。今週末はスペインのRetro Festivalに出るんだけど待ちきれないし、今度クアラルンプールでプレイするけどそれも楽しみだね。クアラルンプールのZoukと、シンガポールのZoukでプレイしてから、東京のWOMBでプレイするんだけど、WOMBではいつも素晴らしい時間が過ごせるんだ。それからドゥベイに行く。面白くなりそうだよ。イスラエルのテル・ア・ヴィヴに行って、カナダのフェスティヴァルに出る。これもすごく楽しみにしてるんだ。それからワシントンでいくつかギグがあって、サンフランシスコに行って、ロスに行って…こうやって世界中でギグが出来るなんて、素晴らしいことだと思うよ。こんな風にサラッと簡単な言い方をしてるけど、実は僕はすごくラッキーなんだと思う。だからこそ毎週末を楽しみに思ってるんだ。

sfm : ありがとうございました!今後もご活躍に期待しています。

End of the interview

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