HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Vera

Great Stuff 傘下のレーベル Kling Klong と、Marc Romboy との共同レーベル Session Deluxe という2つのレーベルを主宰し、DJ/プロデューサーとしても活動する Martin Eyerer。これまで100以上もの作品をToolroom UK, Renaissance, Underwater, Ministry Of Sound, Audiomatique, Trapez 等の名だたるレーベルからリリース。DJとしてのキャリアは20年にも及ぶ大ベテランである。昨年リリースされた 1st アルバム "Word Of Mouth" はそのクオリティの高さからトップDJ達による熱烈な支持を受け、世界中で大きな反響を呼んだ。また8月にはリリース・ツアーとして初来日も果たし、日本においてもその才能はすでに折り紙付きである。その彼が4月3日、Colors Studio へ再び登場するということで来日直前のインタビューを入手。レーベルオーナー、アーティストとしての2つの側面が垣間見られるインタビューとなった。

Interview : Masahiro Tsuchiya (Raft Tokyo)
Translation : Keion Kono, Kenichi Komatsu
Introduction : Midori Hayakawa (HigherFrequency)

triangle

--自己紹介をお願いします。

M.E (Martin Eyerer) : Martin Eyerer。DJとプロデューサー、レーベルのオーナーをやっています。

--DJとしてのキャリアはいつ、どのようにして始まったのですか?

M.E : ’86年に始めたダンススクールがきっかけだったんだ。毎週土曜日にこどもたちのために開かれたディスコ・ナイトのようなものがあって、当時はまだエレクトロニックミュージックはほとんど普及していなくて、下校すると毎日そこにあった’70年代’80年代の古いレコードを聴いてはミキシングの練習をしていたよ。その後、Acid Hype がUKに来たときはすっかりはまってしまっていたことを今でも覚えいてる。エレクトロニックミュージックに触れる最初のきっかけがそこだったんだ。’90年に生まれて初めてイビザへ行き、そこでDJ人生が大きく変わった。新しいハウスサウンドに影響を受け、以降、エレクトロニックミュージックのみを追求しDJを続けてきたんだ。

90年代に大きなテクノブームが巻き起こり、’92年に何人かのスタジオスタッフと一緒にプロデュースを始めたんだ。’93年に Voodoo Records による初のレコードをリリースした。その当時、それなりに反響があったかな。その後も数々のリリースをし、ドイツにとどまらず、ヨーロッパ各国でもプレイする機会が増えてきた。 

次第にテクノというジャンルそのものも様々なカテゴリーに枝分かれしていき、その中でもトランスの要素にどんどんのめり込んでいった。 UK トランス全般とプログレものは好きでしたが、しばらくしてから、このカテゴリーのサウンドがまだまだ当時(現在も)発展していないことに気づきはじめたんだ。そこでテクノという原点に戻ることを決心し、90年代の残りすべては2人のパートナーと共にスタジオを持ち、Co-Producer として音楽制作に携わった。 2000年頃、次第に自身でプロデュースを始めることに意欲が沸き、1から一人でスタジオを作りはじめ、プロデュースについて深く学び始めたんだ。 最高品質の音響を突き詰めていきたいというのが最大の目的だったんだけどね。 それからはしばらくプロデュースの方向性がなかなか定まらず、今の形になるまで3年ほどかかったかな。

-キャリア20年を越えるベテランDJとして現在でもシーンに多大な影響を与えていますが、始めた当時と比べて、シーンはどのように変化していると感じますか?

M.E : DJを始めたのはちょうどテクノが盛り上がる前の頃で、徐々にクラブシーンでは欠かせないものになったという感じかな。 90年代では広く世間にも浸透していったんだけど、2000年頃からはまた以前のように小さなハコで流すようになり、よりアンダーグラウンドな要素に戻ったんだ。それから盛り上がりをみせてきた。この現象は、土台こそは様々に変化していったんだけど、それ以降の成長に大きく影響していたと思うよ。
今でも、世間的に知られているダンスミュージックはいわゆるエレクトロニック シーンからの影響が強く残っていて、そもそも全く違うものとなっている。90年代は大手産業もてがけるほどにまで成長していた。

未だかつてないくらい、現在ミュージックシーンにおいては絶頂期を迎えていると言っても過言ではないと思う。世界中で素晴らしいクラブやパーティが行われ、エレクトロニックミュージックはドイツ(特にベルリン)の象徴とも言えるかな。事実、今、エレクトロニックニュージックがもっとも熱いベルリンへ多くのプロデューサーが移住してるし、日々成長し続けいているからね。今までテクノがあまり知られていなかった各国のクラブシーンにも、今では目に見えて浸透していっていることが分かるし、他にも Medium Internet やMP3もこれに影響を及ぼしているね。この現象はすごく素晴らしいことだと思うし、世界中のクラブでプレイして賛同してくれる人々と出会えるなんてホントに最高だよ。  

--楽曲を作る上での制作環境を教えていただけますか?

M.E : まずはじめに、いわゆるデジタル派・アナログ派と完全に区別はしていないんだ。 どちらにも利点があり、それらを生かしてソフトウェアもハードウェアもいずれも使ってる。機械マニアってこともあり、高品質なヴィンテージものの機材に投資したりもしてる。例えば、コンプレッサーだと Manely や Amek, Neve, Filtek, エフェクターは Lexicon(480L, Modell200, Mpx1 など)、イコライザーは Siemens と Filtek, Studer 社のテープマシーンも新品のものを持ってたりね。 シンセサイザーはクラシックなものだと Roland 社の101、303、808、とMinimoog。現行なものだと Machinedrum や Nordlead、あとVirus Ti も持ってるけど、どれも素晴らしいよ。 ソフトウェアの機材は色々使っているものの中でも Native Instruments の製品は特に素晴らしく、UAD Cards や TC Powercore を使ってる。シーケンサーは昔から Cubase だね。

--自身のレーベル、Kling Klong/Session Deluxe について教えていただけますか?

M.E : Session Deluxe は Kling Klong より先に立ち上げていて、みんなと同様、最初は右も左も分からない状態でただがむしゃらに音楽作りに励んでたんだ。仲間たちと共同で活動する場がほしいというのがきっかけの一つだったんだよね。 2つのレーベルの大きな違いは、Session Deluxe はハウスや機械音の要素を含む、アンダーグラウンド寄りで Kling Klong はもっと一般的で大きいフロア向きって感じかな。 Kling Klong は Great Stuff と運営していて、音楽に関する決定権以外、マーケティングやプロモーション、管理はすべて任せているんだ。Session Deluxe は現在 Marc Romboy と一緒にやっていて、運営方法は同じなんだけど、発端は単純に一人では仕事がまかないきれなく、彼の会社がレーベルの仕事に関して経験豊富だということから始めたんだ。どちらのレーベルも自身のスタイルを象徴した音楽を発信しているよ。

martin_eyerer

--去年リリースされたファーストアルバム 'Word Of Mouth' が世界中で様々なアーティストにヘビープレイされていましたが、アルバムの中のベストトラックは、答えにくいとは思いますが、自身の中ではどれでしょうか?

M.E : 確かに難しい質問だね。このアルバムを作るときに自分が本当に好きなトラックのみをセレクトし、一切の妥協を許さないと決めていたんだ。 どの視点から見るかによって異なると思うしね。  初のリリースとだけあって、この作品はスタイルに縛られず、年代を問わないものに仕上がったと思ってる。今でもこのトラックたちは流すし、いつでも新鮮に感じられるし、どんなシーンでもはまる。だから一概に一つのトラックを挙げるのは難しい。 でも答えるならば、最近DJをやるときは終盤にはよく "Lad Dolce Vita" をプレイしてるよ。

--そして去年夏、アルバムのリリースツアーとして、遂に日本に初来日したわけですが、日本はいかがでしたか?印象を聞かせてください。

M.E : 日本にはずっと前から行きたいと願っていたんだ。世界中の各国へ行くことはあっても、日本にはなかなか行く機会がなかった。もともと伝統や歴史に興味を持っていたし、この国は数千年に渡る歴史や伝統があり、興味というものを超越している。 あと、テクノシーンが活発だということもね。以前に日本を訪れた多くのDJからもその評判を聞いていて、去年来日したが決まったときはそれを体感できるとが実現してすごく嬉しかったよ。実際に来てみて、期待通り、最高の時間を過ごせた。パーティも素晴らしかったし、人々もみんなとても親切だよね。 そのパーティ以来、あらゆるところでその反響が明らかに出たんだ。日本のみんなにとってどれだけエレクトロニックミュージックが人気があるか再確認させられたよ。

--現在注目しているアーティストやDJがいたら教えてください。

M.E : とても素晴らしく、才能のある方々はたくさんいるよね、強いて挙げるならば、特に親しく、尊敬している人たちを紹介させてほしい。 Namito を始め、Stephan Hinz、Robert Babicz、Marc Romboy、Patrick Zigon、Tom Pooks、Stephan Bodzin、Gel Abril、他、一緒に仕事している人たちは特に素晴らしい。彼らはただの友人だけではなく、現在知る人ぞ知るほど人気のある人もいれば、大物アーティストの作品を手掛けている人もいる。どの人も最先端にいて影響力のあるプロデューサーの方たちばかりだと思う。Myspace に載せている Top Friends で是非彼らをチェックしてみてほしいな。

--今後の活動を教えてください。

M.E : かなりたくさんのことを予定してる。Robert Babicz と手掛けたセカンドシングル 'cave canem' がリリースされるし、、Someone Else と Daniele Papini も。あと Boxer Record からは Martin Eyerer & Robert Babiczの 'Salsa Roja' がリリースされることが決まってる。 来月 Kling Klong からは新たに Namito と Stephan Hinz と組み、Seven Lives というトラックがリリースされる。何とRemixは Butch! がやってくれるんだ。5月には Systematic から Eyerer & Namito のリリースも準備してて、夏までには Berlins Sender Record の Benno Blome と手がける自身のシングルをリリースする予定。’09年の後半は来年の春リリース予定のアルバム制作に取りかかるつもりだよ。こうやって書くとすごい量だね・・・。
最近の嬉しい話としては ”Only For DJ” のコンピレーションを担当したんだ!!大変光栄だったし、内容も毎回本当に素晴らしいからね。最先端の音源が入っているので是非チェックしてね。

--最後に日本のファンに一言お願いします! 

M.E : 時間が限られていて、日本という素晴らしい国とその伝統をじっくり見られないことが非常に残念だけど、日本をとても愛していますし、また行けることをすごく楽しみにしているよ! Colors Studio で会いましょう!

End of the interview



RAFT05TOKYO Supported By Diesel U Music
2009年4月3日 (Fri) @ Colors Studio, Tokyo _ 23:00〜
Door : Y3,500 _ w/f : Y3,000

Special Guest DJ : Martin Eyerer (Kling Klong, Session Deluxe/DE)
DJ : Ryo Tsutsui (Eden, Weekend Warriors), Tez (RaftTokyo, Gemini Recordings), Kusda (RaftTokyo, Serie-Noire)
VJ : REALROCKDESIGN

LOUNGE DJ : Syn (Msc_Crew/Serie-Noire), Kunbou (ImpaCt), Shut (Indepth), Hal (RaftTokyo), Takanori Suzuki (RaftTokyo)

CODA feat. Martin Eyerer
2009年4月4日 (Sat) @ Sound-Channel, Osaka _ 22:00〜
Door : Y3,000(1D) _ w/f : Y2,500(1D)

Special Guest DJ : Martin Eyerer (Kling Klong, Session Deluxe/DE)
DJ : Kiyomasa, Dimitri, Joey, Toru, Juan, Dom Pang, Karla


dOP



関連リンク