’99年よりベルリンの Ostgut が経営するドイツNo.1クラブ、Berghain のオープンと同時にレジデントとして今日に至るまで活動を続けているアーティスト Marcel Dettmann。その間’03年には、ベルリンテクノの総本山であり Basic Channel の Mark Ernestus がオーナーを務めるレコード店 Hard Wax で働きはじめ、また’06年には自身のレーベル MDR を設立。そんな今最もエッジのあるアーティストとして人気を博している彼が待望の初来日を果たすということで、来日直前の貴重なインタビューを得ることができた。昨年リリースしたミックスCDについてや、今や引っ張りだことなっているリミックスワークにおける話など、音にフォーカスした、ベルリン・シーンの中核に属する彼ならではの,ファンには堪らない内容のインタビューとなっている。
Interview & Translation : MODULE
Introduction : Midori Hayakawa (HigherFrequency)
MODULE : あなたにとって初めての日本だと思いますが、日本のシーンに対して何かご存じだったり、イメージを持っていますか?
M.D (Marcel Dettmann) : そうだね、日本に行くのは初めてだよ。日本の人たちはとても音楽に興味を持っていることを知っているし、日本でプレイするのが楽しみだよ。
MODULE : 現在、毎週末のようにヨーロッパ中でプレイしていますが、特に印象に残っているクラブ、国はありますか?
M.D : 世界中にたくさんの素晴らしいクラブがあるけど、ヘルシンキは最高だね。スカンジナビア人と考え方が似ている。ヘルシンキの Redrum というクラブがすごく良くて、年に3回は行くようにしていて、そこでプレイすることはとても大好きなんだ。Twisted Pepper っていうクラブがダブリンにあるんだけど、照明はストロボライトだけなんだけど、最高のサウンドシステムを備えていて、みんなの熱気がすごくて天井から汗?が滴ってくるんだよね。お客も場所も素晴らしいよ。ニューヨークには Buker っていうイベントがあって、ただ僕は一度だけしかそこでプレイしたことはないんだけど、お客がどんどんクレイジーになっていってる。ドイツの中だと、イェーナにある Muna Club がお気に入りだよ。
MODULE : 一方であなたのホームであるベルリンのシーンの状況について教えてください。
M.D : ドイツ人だけじゃなく観光客、アーティスト、労働者、いろんな人種が混ざり合ってて面白いよ。パーティーが終わることはないね。
MODULE : どういった経緯で Berghain のレジデントになったんでしょうか?それまではどのような活動をしていましたか?
M.D : 1993〜1999年の間、僕の地元フューステンバルデにあるパンククラブで Marcel Fengler と一緒にパーティーをオーガナイズしていて、その時は東ドイツでプレイすることが多かったんだけど、1999年に友達が僕のミックスCDを Ostgut のチーフに渡していたんだよ。1か月後にパーティーに誘われることになって、昔の Ostgut があった場所でプレイすることになったんだ。その後、1999年の5月から2002年に Ostgut が閉店するまでレジデントになって、2年後、Berghain って名前で新しい店を始めるから、ってことでレジデントを頼まれたんだよ。
MODULE : あなたはレコード店 Hard Wax に勤めていることで知られています。Hard Wax に勤めるということでのあなたの音楽遍歴への影響は大きいでしょうか?
M.D : 2003年から Hardwax で働いているけど、Hardwax で働くのは長年の夢だったよ。Berghain と Hardwax は僕の音楽哲学を完全に代弁してくれていると言ってもいいね。色んなアーティストの情報源になっていると思うよ。
MODULE : 次はあなたのDJについて伺います。昨年リリースしたミックスCD "BERGHAIN 02" では Kevin Sanderson, Luke Slater など昔から活動を続けるアーティストに加え、Norman Nodge や Samurai Kemmpi などあなたと同世代の新しいアーティストをフィーチャーするなどタイムレスな選曲でしたね?これは意識的に?それとも普段からこのような選曲なのでしょうか?
M.D : "BERGHAIN 02" を作るときは、ただ単に流行りの曲だけを使うんじゃなくてタイムレスで昔から僕がよくプレイしているトラックを選ぶように気をつけた。それだけじゃなくて僕に影響を与えてくれたり、普段から仲良くしている友達に未発表の曲を使ってもいいかお願いしたよ。
MODULE : Clatterbox のようなエレクトロの楽曲を使用していたのも印象的でした。また先日RAにて公開されたミックスでもエレクトロを使用していましたし、Peverelist といったダブステップのアーティストも取り入れています。Peverelist の楽曲はあなたのチャートにもランクインしていました。このようにタイムレス、ジャンルレスでありながらも、なぜか非常にテクノ的で、まとまりのあるミックスとなっています。この点についても同様のことが言えるのでしょうか?
M.D : そうだね。僕が聴いている音楽をすべてミックスしようと心がけてるよ。
MODULE : あなたのDJプレイは国やヴェニューの規模に応じてどのように変化するのでしょうか?
M.D : いつも違うよ。同じことばかりじゃなくて新しいことにチャレンジしている。とても重要なことだよ。
MODULE : あなたの制作面について伺います。まずは自身のレーベル MDR ですが、このレーベルを立ち上げる経緯やレーベルのコンセプトについて教えてください。
M.D : 特にテーマはなくて、音にフォーカスしていて、純粋にテクノってことだけだね。
MODULE : 自身の名前を冠しているので、自身の楽曲のみをリリースするものと思っていましたが、MDR 02 では Hard Wax の同僚でもあり Monolake メンバーである T++ をリミキサーとして起用しているほか、3、5番では Norman Nodge がリリースしています。これらはどういった経緯からでしょうか?
M.D : T++ は昔からの親友なんだ。音楽はフューチャリスティックだし、機械っぽいグルーヴで大好きだよ。Norman Nodge は1992年に僕の地元では初となるテクノ・パーティーをオーガナイズしていて、僕はそこに通いつめていたんだ、彼からの影響は大きいね。リミックスやリリースをお願いしたのは、僕が彼らの大ファンだからだよ。
MODULE : 楽曲制作において注意している点を教えてください。
M.D : 僕は既存の曲に聞こえるものは好きじゃないんだ。それはエモーショナルとは言えない。僕が制作するときは、自分自身を驚かせるようなサウンドを作ろうとしているって言えばいいかな。
MODULE : リミキサーとしてもいまや、大忙しですね。その中でも印象に残ったものはありますか?
M.D : リミックスは大好きだよ。特に自分とは全く違うスタイルの音のときはね。僕は自分自身の雰囲気を持っているから、違うスタイルの音に、自分の持っているものを組みこむことができるよね。今は Junior Boys や The Knife っていうかなりポップなアーティストのリミックスをやっているよ。彼らのボーカルが好きなんだ。
MODULE : 特に印象に残ったのが、Scuba (レーベル Hotflush を運営するUKのダブステップアーティスト) のリミックスです。テクノとダブステップが Basic Channel に端を発するミニマルダブをキーワードに接近している印象を受けます。この点についてはどの様に思っていますか?
J.Z : エレクトロニックミュージックにとって、とても素晴らしいことだと思うよ。Basic Channel やインダストリアルミュージックの再来だね、本当に楽しいよ。
MODULE : 今後の予定を教えてください。
M.D : The Knife、Junior Boys、Function のリミックスをやっている。MDR や Ostgut Ton からも新曲が出るよ。
MODULE : 最後にあなたの来日をこころから望んでいるファンのみんなにメッセージをお願いします。
M.D : 僕が行くまで、その気持ちのままでいてね。
End of the interview
VATON feat. MARCEL DETTMANN
2009年3月19日 (Sat) @ MODULE _ 22:00〜
Door : Y3,000(1d) _ W/F : Y2,500(1d) _ W/F(~24:00) : Y1,500(1d)
B2F :
Marcel Dettmann (MDR, Ostgut Ton/Germany)
yoshiki (op.disc, Runch)
ditch -LIVE- (op.disc, Snork Enterprises)
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