HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Luciano

テクノ・シーンの最前線で活躍するチリ人アーティスト Luciano。日本においても、DJとしてクラブはもちろんのこと、過去 Metamorphose や Big Beach Festival といったダンスミュージック系フェス、さらに今年はライブ名義 Luciano presents AEther として Summer Sonic にも出演し、一気にその人気と地位を確立したと言えるだろう。またレーベル・Cadenza を主宰し、自身をはじめ盟友 Ricardo Villalobos 等、現在のシーンを担う名だたるアーティストが多くの作品をリリース。プロデューサーとしてもその才能は世界から絶大な支持を得ている。

今回、待望となるセカンド・アルバムのリリースに伴い、電話でのインタビューを決行。アルバムについての話を中心に、ここ最近の活動における、リアルな彼の言葉を訊くことができた。

Interview & Translation : Hidehiko Takano
Introduction : Midori Hayakawa (HigherFrequency)

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-- 今年日本で出演された Summer Sonic は過去に出演された Metamorphose や Big Beach Festival などと異なり、クラブミュージックではない、いわゆるメジャーミュージックを主体としたイベントという位置づけをされています。出演するにあたって何かそういった違いは感じられましたか?

Luciano : まさしく、メインストリームなイベントだったね。普段プレイしているものとは違ったけど、良かったと思うよ。いつもとは異なるお客さん、異なるシーンに触れられることが出来たし、とても楽しかったよ。でも、やっぱりクラブとか、もっとDJのための場所でプレイする方が好きだね。

-- 何か特別な変化やリアクションはありましたか?

Luciano : 色々な人が喜んでくれていたみたいだし、全く別のアーティストを目当てに会場に来ていた人が、ステージ前にふらっと立ち寄って自分の音楽に触れてくれることで、いわば発見をしてくれていたから、有意義だったよ。

-- 前回の Lucien-N-Luciano 名義でのアルバム "Blind Behavior"('04年)から今までの間にあなたを取り巻く環境は色々と変化したと思うのですが、作品づくりにあたって最も変化した部分は何ですか?また、変化していない部分はありますか?

Luciano : 何か意図した変化というのは無いと思うよ。ミュージシャンとして、ずっと音楽を続けているのは、何か珍しいことをやりたいからではなくて、その時、その時に感じていることを表現したくてやっているんだ。そういった意味で自分の生活に合わせて結果として音楽は変化してくることにはなると思うけどね。今回のアルバムではここ何年かで聞いてきた音楽や、ツアーをしながら発見し、新しい影響を受けて、新たな人と出会ってきたこととか、この4年間で得てきたものにフォーカスしているんだ。旅をして、吸収してきたものから、ダンスミュージックについて新たな視点やアイディアを持ち込みたかったんだ。より色々なものを織り交ぜることでね。

-- Luciano 名義では初のアルバムということになりますが、何か特別な思い入れや意味合いはありますか?

Luciano : より、自分自身の中にあるものを盛り込めた作品だとは言えるね。アジア、アフリカ、ヨーロッパ、北米、南米、あちこちを旅して得て来たものを1枚のCDに盛り込んだんだ。世界中の音楽を集めて、ひとつのアルバムにまとめるのがそもそものアイディアだったんだ。

-- '07年11月に行われた当サイトのインタビューで、当時製作中だったアルバムについて 「ダウンテンポなものを集めるかもしれないし、ダンスミュージックを集めるかもしれない。ただ1つはっきりしているのは楽器と声を融合させたいっていうこと」 とコメントされています。実際に完成された現段階でテーマやコンセプトを言葉にするとしたら異なるものになりますか?

Luciano : コンセプトという意味では変わっていないね。何が変わったかというと、昨年からスタジオを作り上げていたということだね。もっと色々と機材を買って、色々な音楽を作れるようにしたんだ。ヴォーカルを録音したくなったら録音できて、楽器が欲しくなったら楽器を、デジタルのものが欲しくなったらデジタルを。そういったことが全て選択出来る環境にしたかったんだ。自分の頭に浮かんだあらゆるものを形にできる環境にね。

Luciano

-- ここ数年で、スタジオ環境が劇的に良くなったということでしょうか?また、現時点でスタジオは完成でしょうか?それとももっと欲しい機材はあるのでしょうか?

Luciano : スタジオ環境ははるかに良くなったね。機材を買うために公演で得たお金を節約したりしてね。スタジオを作るのが自分の夢だったんだ。望みどおりのスタジオを手に入れたことで、違う音楽がつくれるようになったんだ。違った方法でね。スタジオの環境は常に変化するものではあるけど、今の段階においては十分以上だと思っているよ。今必要と思っているものは全て揃っているよ。

-- 色々なアーティストがあなたのスタジオに来るのでしょうか?

Luciano : そうだね。いつも他の人たちと音楽を作りたいと思っているからね。スタジオをシェアすると必ず面白いことになるんだ。だから、色んな人がスタジオに来ることは歓迎だよ。コラボレーションすると互いに学び合うことが出来て、良い結果に結びつくんだ。

-- 8曲目 'Pierre For Anni' ではボイスサンプルの中に日本語が大分聞こえるのですが、これはいつ、どこで録音されたものなのでしょうか?また、日本語のサンプルを使われたのには何か特別な理由があるのでしょうか?

Luciano : WOMBでのプレイが終わってから、バックステージで冗談を言ったりしていた時に録音したんだ。日本の童謡か何かについてみんなが冗談を言い合ったりしてふざけていたんだ。みんなで日本語でジョークを言っていて、それを録音したんだ。何で日本語を使ったかというと、日本が好きだからだよ。今まで沖縄から札幌まで10回か11回行ったけど大好きな国なんだ。自分は6ヶ国語話せるから世界中どこに言っても大体のことが分かるんだけど、日本に初めて行った時は一切何も分からなかったんだ。全く異なる文化だったし、色々な面でとても先進的だったから衝撃を受けたんだ。

-- 何が一番衝撃的でしたか?

Luciano : いくつかあったけど、一番という意味ではタクシーに乗った時のことかな、60歳くらいの年配のドライバーがカーナビのあらゆる機能を使いこなせたのが衝撃だったんだ。ヨーロッパでタクシーに乗ったら、50歳のドライバーなんかであれば、スイッチのつけ方すら分からないからね。そういったところからも、日本人はあらゆる面で進んでるって思ったんだ。お客さんという意味でもとても興味深かったね。すごく健全だししっかりと音楽に理解を示してくれて。それもすごく衝撃的だったね。

-- Disc 2として同梱されるDVDについて、'Luciano's Diary' ということで南米ツアーの様子を録画したものだと伺っていますが、注目ポイントなどあれば教えてください。

Luciano : DVDは何か特別にかっこつけたりしたものではなくて、CDを買ってくれる人達にプレゼントをあげたかったんだ。2〜3週間の南米でのツアーだったけど、その様子を家で気軽に見てもらえるようなものにしたかったんだ。南米の色々な要素を盛り込んでみたかったんだ。クラブシーンだけでなく文化もね。山中に行った時の様子とか、インカ由来の古代の歴史とか色々なものが収録されていてとても面白い内容になってるから、ぜひ見てもらいたいね。

-- 今後、何かしら映像面でのアプローチを追及していくことになるのでしょうか?何かコラボレーションや作品作りなど、具体的な予定はありますか?

Luciano : 映像には是非取り組んでみたいと思っているよ。音楽と映像は常に密接に関係していると思うし。公演の時は空間の中で、音楽と映像でお客さんを最大限楽しませたいと思っているからね。はっきりとしたプラン無いけど、何かしら形にするつもりだよ。

-- ツアー、リリース、レーベル活動など、今後の活動予定を教えてください。

Luciano : 直近の予定だと、来年1月、2月はスタジオにこもって音楽を作りたいと思っているんだ。新しいアルバムとかではなくて、今自分の中にあるものを音楽にしたいんだ。もちろんレーベル活動も続けるよ。レーベルマネージャーと一緒に、常に新しいアーティストを発掘しているよ。訪日という意味では1ヶ月半くらい日本に滞在してプレイするプランがあるよ。

-- 最後に、当サイトを見ている日本のファンにメッセージをください。

Luciano : アルバムを是非聞いて欲しいね。DVDと一緒にね。心の底から自分に正直に作ったものだし、何かかっこつけたりしたものではないからね。自分が出来ること、出来る音楽をしただけだからこそ、気に入ってもらえたら嬉しいな。

End of the interview



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