HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Lil' Louis


1974年12才の頃からフランキー・ナックルズ、ロン・ハーディらと同様に、オープンリール・テープデッキを用いてフィリー・ソウルやディスコをロング・エディットしてプレイし、17歳になった頃には独創性の高いプレイ・スタイルによりシカゴ屈指の人気DJとなったシカゴ・ハウスのオリジネーター「リル・ルイス」。1986年のHercules「7 Ways」のリミックスを皮切りに、長年にわたり数々のオリジナリティー溢れる作品を世に送り続けた彼がDJ活動30周年となる2004年初頭に「フライトケース(レコードボックス)の蓋を閉じるつもりだ」と突然のDJ活動停止を発表。2004年下旬“LAST DANCE”と銘打ったワールド・ツアーを最後にDJとしては引退することとなった。LAST DANCEツアー西麻布yellowの公演の為、来日を果たした彼にインタビューを敢行。音楽的なバックグラウンドや気になる引退に関する真相を聞いた。

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> Interview & Translation : Eri Nishikami_ Photo : Mark Oxley (HigherFrequency) _ Introduction : Masashi Kitagawa (HigherFrequency)

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HigherFrequency (HRFQ) : HRFQ : イエローが13周年を迎えますがまずは一言メッセージをお願いします。

Lil' Louis : 本当におめでとう! ここまで長くやってこれたことは素晴らしいことだし、今夜は一緒にお祝いしたいね。

HRFQ : このツアーでDJとしての活動を終えると聞きましたが、他にどんな国へ行きましたか?

Lil' Louis :ヨーロッパ、オーストラリア、それからアメリカのあちこちに行ったな。30周年を記念して30都市をまわる予定なんだ

HRFQ :最後はどこへ?

Lil' Louis :クリスマスにやるシカゴが最後かな。

HRFQ : 音楽的バックグラウンドを教えてください。

Lil' Louis :1974年にDJとしての活動をはじめたんだけど、その前はドラムを叩いていたんだ。 あと僕の父親が、シカゴで結構有名なブルース・ミュージシャンだけど、自分が引退したときに子供たちに継いでもらいたかったんだろうね。みんたほとんど無理やりに楽器を習わされたんだ。僕はかなり抵抗したんだけどね。で、74年に偶然にもDJを始めることになったんだ。具合が悪くなって入院しなければならなくなったDJの代わりにプレーしたのがきっかけかな。

HRFQ : まさにシカゴハウスというものが誕生したあの時代を経験されたわけですが、自分たちが新しいムーブメントを起こしているという自覚はありましたか?

Lil' Louis : 僕はハウスが生まれる前から活動していたし、実際ディスコ時代の前からやっていたんだ。そこまで遡ると時々恥ずかしくなるんだけどね。でも僕らが始めた頃のハウスというものは、いわゆる「ディスコからの卒業」といった感じのものだったんだ。1979年でディスコは終わったって言われてたからね。で、僕やフランキーが中心になってほかのDJと一緒にこのムーブメントを何とか続けようって事になって、僕自身の役割としてキーボードを何台か買って、ディスコを真似たサウンドを作ろうとしたんだ。それがハウスの始まりんだったというわけさ

HRFQ :あなたがDJとしての活動を辞めるのは、今のシーンに期待が持てないからですか?

Lil' Louis: いや、そうじゃないよ。シーンの現状と僕の決心とは何の関係もないね。僕を突き動かしてその気にさせたのは、「進化」という言葉なんだ。他に手を広げたいこともたくさんあるし、それに90才になってまでDJなんてしていたくないからね。それにいつも何かをやめるにしろ始めるにしろ、いつも一番でいたいし、もう十分に貢献してきたと思うよ。はっきり言って30年っていう僕のキャリアは、シーンにとってすごく大きな貢献をしたってことだけどね。フォーカスするのは相変わらずエンターテイメントなんだけど、更に広げるって感じかな。例えば映画の製作とかね。サウンドトラックもやりたいな

Lil' Louis Interview

HRFQ : それはもちろんあなたのオリジナリティーあふれるものになるんですよね。

Lil' Louis :もちろん!。僕のやるものは何だってオリジナルさ。具体的にはまだ言えないけど、必ず僕らしさが出た作品になると思うよ

HRFQ : あなたらしさを出す上で、大切なことってなんですか?

Lil' Louis:まず一番大切なのは信念を持ってやることで、僕自身だれかの影響を受けたことはほとんどないんだ。最初にディスコの真似をしていたころは別だけどね。自分が感じたことに忠実にやってきたし、僕が経験してきたことって言うのは他のDJの経験とはまったく違ったものだし、他の人の経験だって僕のものとはまったく違うでしょ。たとえ同じことを学んだとしても、僕が誰かに伝えるときは自分なりの解釈で伝えることになると思うし、そういうことを大切にしてそこから自分らしさは広がっていくんじゃないかと思うんだ。

HRFQ : ハウスミュージックはこれからどうなっていくべきだと思いますか?

Lil' Louis :シンプルになること。僕が感じる一番の問題、というか、一番の課題は、アプローチが複雑になりすぎたことだ。ほとんどジャズみたいなものだよ。ジャズも壁にぶち当たってフュージョンになったでしょ。僕にとってフュージョンは「コンフュージョン(混沌)」の短縮形みたいなもの。マーケットを無視した音楽だね。ハウスもそれと同じ道をたどったんだと思う。どんどんディープになって、逆に浅くなってしまったのさ。だから、僕のあとに続く人たちが、僕のやってきた努力を受け継いでくれることを願うね。シンプルに、でも美しく。今はすべてのものが大げさで複雑になりすぎていて、あまりにもコアなところで進化しているからね。誰かが言わないと気づかないくらいさ。でも結局お客さんが求めているのは、シンプルさなんだよね。

HRFQ : 30年のDJとしてのキャリアで一番印象的たっだことはなんですか?

Lil' Louis :一番印象的だったこと...、なかなか良い質問だな。あえていえば継続できたことかな。いろんな瞬間があるんだけど、しいて言うとそれらの集合体といった感じだね。例えば、かつて存在した純粋な価値観は今でも印象に残っているよ。当時は誰もシーンがこんなに大きくなるなんて思ってもみなかったからね。でもパワーを維持できたってことが、一番印象に残っていることかな

HRFQ : これからも音楽制作を続けられると思いますが、今後はどうなっていくのでしょうか?

Lil' Louis :さっぱりわからないな。ここ何年かいろんなジャンルにトライするようにしていて、ジャズもやってみたけど、ちょっと飽きちゃってね。だから今はクラシックを勉強しているんだ。でも、自分の中にはブルースの流れもあるから、何でもありって感じさ。だいたい音楽を作るときプランをたてることはないし、DJのときだってそう。クラウドの声に従ってプレイするだけさ。よりヴァイブ的な要素と言ったらいいのかな。君の目を見ながら、そこから感じることをベースにプレイをするって感じかな。で、それと同じことをスタジオでやっているわけさ。その日に感じたヴァイブを元に、ある色を考えていくんだ。で、音楽の中にその色を探していくという感じなんだ。

HRFQ : 最後に世界中のファンにメッセージを

Lil' Louis :伝えておきたいのは、僕の音楽に対する愛情はまだまだ深いんだけど、ただその愛はみんなに向けられたものではないってこと。なぜなら、僕が受け取ったEメールや手紙に中には、僕がもう音楽を愛していないとか、ハウスミュージックを愛していないとか書いてあるものもあったからね。でも、今でも音楽は好きだし、ただ進化したいだけなんだ。大切なのはみんなも進化をするべきだってこと。そして他人の進化も認めるってことだ。だから15年か20年たったときに、みんながその時の僕を認めてくれるといいし、僕もみんなを認められるといいなと思う。それだけさ。

End of the interview

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