HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Kevin Yost Interview


90年代の半ばから制作活動を本格化させ、全世界で5万枚を売ったというヒット・アルバム"One Starry Night"を始めとして数多くの名作を世に送り出してきたアメリカ・ペンシルバニア在住のプロデューサー Kevin Yost。ニュージャージーのレーベル i! Records を主な拠点に、クールでジャジーな雰囲気につつまれた作品を次々と発表してきた彼は、DJとしても「ミックスする曲は全て自身の作品である」というポリシーを貫くなど、「サウンド・クリエイターとしてのDJ」という側面を誰よりも体現してきた存在だということが出来るだろう。

昨年結成した Kevin Yost Group においては完全な生演奏によるパフォーマンスを展開することで高い評価を獲得、今年の6月には5年ぶりとなる待望のニューアルバム"Future Flashback"もリリースされるなど、ますますキャリアに磨きをかけつつある Kevin を HigherFrequency が4月末の来日時にキャッチ。彼の音楽的ルーツや制作スタイルなどについて話を訊いた。

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> Interview : Eri Nishikami _ Translation & Introduction : H.Nakamura (HigherFrequency) _ Photo : Mark Oxley (HigherFrequency)

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HigherFrequency (以下HRFQ) : 日本は何回目ですか?

Kevin Yost : 今回で4回目かな。

HRFQ : 日本はどうですか?

Kevin : うまく言えないけど、今回はいつもと違う感じだね。

HRFQ : バイオによるとあなたの出身地はペンシルバニアのウエインズボロウだそうですが、大きなミュージック・シーンはあったりしますか?

Kevin : ないね。

HRFQ : どんなきっかけでクラブやDJに関わるようになったんですか?

Kevin : 友達と一緒に学校のパーティーでDJを始めたのが最初で、彼の影響でハウスを聴き始めたんだ。その頃、僕はちょうど11歳くらいだったかな。

HRFQ : 11歳ですか?

Kevin : そう、随分前のことだよ。

HRFQ : その歳で既にハウスに夢中だったのですか?

Kevin : そうだね。聴いてすぐ好きになったよ。

HRFQ : 今はどこに住んでいるんですか?

Kevin : 同じ場所さ。

HRFQ : そこで仕事をするのは大変じゃないですか?

Kevin : 一番近い空港に行くのに2時間くらいかかるし、一番近い街がワシントンとボルチモアなんだ。

HRFQ : パーティーとかはあるんですか?

Kevin : ないない。レッドネック以外は何ひとついないところだよ。すごい田舎で、牛と田舎モノばかりいるところさ。

Kevin Yost Interview

HRFQ : なぜ他の場所に移住しないんですか?

Kevin : まぁ、自分が育ったところだし、家族も近くにいるからね。あと、甥や姪も近くに住んでいるし…しかも、僕はいつもあちこちを飛び回っているから、どこかに移住する意味があまりないんだ。それに、旅から戻った後に過ごすには最適な場所で、音楽をつくるのに良い環境だという理由もあるかな。

HRFQ : i Records と関わるようになったきっかけは?

Kevin : たしか95年くらいのことだったかな。当時、音楽をつくり始めてから既に5年くらいが経っていて、それまでは楽しみのためにだけ作ってた感じだったんだけど、その頃からいろんなレーベルに音を送るようになって、それに対して返事をくれたのが i Records だったんだ。それ以来、ずっと彼らと仕事をしてきたって感じさ。

HRFQ : どんな機材を使っていましたか?

Kevin : 丁度DJも始めていたから、ターンテーブル2台とミキサー、それに友達がリズムマシーンを持っていたんだけど、今の基準で言うとかなりチープな機材で、たしかローランドの 505 だったと思う。でも、当時の僕にとってはスゴイって感じで、その友達から借りていじり倒しているうちに、これが自分のやりたい事だって思うようになったんだ。実はその頃、僕はドラマーとしても活動していて、ライブで得たお金を元にリズムボックスを買って、そして遂にはキーボードを買ったというわけさ。

HRFQ : 今はどんな機材を使っていますか?

Kevin : すごくベーシックだよ。基本的にはPCと、それにローランドの機材をたくさん使っているかな。あとは Cubase…それに様々なエフェクト…あと、ドラムの音は生で録ることが多くて、どうしてもライブ系の素材がいつも多くなるかな。

HRFQ : ニュー・テクノロジーについては興味がありますか?Final Scratch や Traktorですが…

Kevin : そうだね。使ったことはないけど、人が使っているのは見たことがあるよ。間違いなくスゴイ技術だと思うけど、オリジナル曲をたくさんプレイするために、僕はいつも何枚ものCDを使うでしょ。でも、まだコンピューターを充分に信用出来ていないんだ。セットの途中でパソコンが突然おかしくなるなんて、想像したくもないことだよ。ただ、コンセプト的には間違いなくスゴイと思うな。

HRFQ : DJの時には自分の作品しかプレイされないそうですが、それは何故ですか?

Kevin : 昔のことだけど、DJの仕事を貰って海外に出かける…どころが、自分のかけた曲が前座のDJがプレイしたのと同じだったりすることがよくあってね。それに曲をたくさん作るようになって、毎週4曲でもリリースしないと間に合わない感じだったし、それにお客は僕のプレイを見に来ているんだから、他人の曲をプレイするのはメイクセンスしないと思ったんだ。確かに数年前は、他人の曲をプレイすることは、露出を図るという意味でスゴク重要だったけど、今では大勢DJがいるから、必ずしもその必要はない。だから、今日ここにやってくるみんなが、今まで聴いたことのない音を聴くことが出来るというのは、理にかなっていることだと思うんだ。

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HRFQ : どこからインスピレーションを得ているのですか?

Kevin : ハウスやエレクトロニック・ミュージックは全く聴かなくて、いつもはジャズやクラシック、それにクラシック・ロックや80年代ものなどを聴いているんだ。ハウスは好きだけど、影響は受けないようにしているね。あと、住んでいる場所も全てから離れたところにあるから、自分自身のスタイルとつくることが出来たんだと思う。

HRFQ : Kevin Yost グループについてお伺いしますが、これはバンドですか?

Kevin : うん、僕と5人のメンバーで構成されるバンドで、去年はライブ形式でヨーロッパを周ったりしたんだ。パーカッションにベース、サックス、フルート、それにヴォーカルって編成でね。

HRFQ : ジャズ・バンドですか?

Kevin : ジャズなんだけど、去年やったショーはうまくミックスされたもので、ダウンテンポもあればハウスもあるし、ドラムン・ベースもあるって感じだったんだ。

HRFQ : 作曲はあなたが?

Kevin : そうだね。全くのゼロから作ったオリジナル曲ばかりで、それまでの作品とは全く違った感じで楽しかったよ。でも、やることが一杯あって大変だったね。僕自身とレコード以外にも5人の人間を運ぶ必要があったし、しかも、そのうちの一人は飛行機に乗ったことさえもなかったヤツだからね。でも、楽しかったし、上手く行ったと思うよ。

HRFQ : ツアーの予定はありますか?

Kevin : うん、去年やったツアーでは特にテーマはなかったんだけど、 次のツアーでは近々出るニューアルバムをテーマにしたいと考えているんだ。だから、出来れば夏から秋にかけてって感じかな。

HRFQ : あなたにとって音楽とは?

Kevin : 全てさ。音楽がなかったら何をしてたか見当も付かないよ。音楽のおかげで暮らせるし、幸せになれるし、他人を幸せにすることも出来る…。とにかく全てさ。

HRFQ : 最後の質問ですが、世界のファンに向かって何かメッセージはありますか?

Kevin : とにかくみんなのサポートに感謝したいね。特に最近ではみんながDJや制作をやっている感じだから、こういったサポートを受けること自体が、難しくなっていると思うんだ。だから、このことはとても意味があることだと思うよ。

End of the interview

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