HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

’90年代初頭から 'Higher State Of Consciousness' をはじめとする数々のクラブ・アンセムをリリースし、DJとしてもジャンルを超越したプレイで世界中のクラウドを虜にし続けている Josh Wink。プロデュース、DJともに独自のアシッド・サウンドを織り交ぜることでも有名で、 "アシッド = Josh Wink" といったある種の代名詞にもなっているほどだ。 また、自身のレーベル Ovum Recordings も Loco Dice をはじめ、 Davide Squillace や Gel Abril、 Shlomi Aber などのアップ・カミングな若手プロデューサーたちに逸早く着目し、輩出していくことで常にシーンの最先端な存在として君臨し続けている。そんな重鎮が今年の Metamorphose 以来東京へやってくるということで HigherFrequency が直撃インタビューを決行。意外にも当サイトでは初のインタビューということで期待と緊張感も高まっていたのだが、実際かなりのナイスガイで、想像以上にいい話を聞かせてくれた。

Interview : Masanori Matsuo (HigherFrequency) , Yuki Murai (HigherFrequency) _ Translation : Yuki Murai (HigherFrequency) _ Introduction : Masanori Matsuo (HigherFrequency)

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HRFQ : 先日の Metamorphose はいかがでしたか?

Josh Wink : Metamorphose は、長いこと僕のフェイバリット・パーティーのひとつだよ。ビッグ・パーティーとして本当素晴らしかったし…天気はひどかったけど、来てる人達もいい感じだったし、本当に楽しませてもらったよ。

HRFQ : あなたのプレイが一番だったという声も多いですが、ご自身ではどのような印象をお持ちですか?
頭にタオルまで載せての熱演だったと聞いているのですが?

Josh Wink : どうかって言う位、めちゃくちゃに暑かったからね(笑)。でも、みんなからのリアクションや、僕とクラウドの間で起こる相互作用とか…その辺は完璧だった。すごく良かったと思う。以前は WIRE で02、04 と2回プレイしたけど、それとはまた違う種類のフェスティバルだよね。テクノだけではなくて、色々と違った種類の音楽があるのはいい事だと思うし、そんな中の一人として参加できて嬉しいよ。
昨日行った名古屋でも、みんな寄ってきて、Metamorphose のギグが楽しかった!って言ってくれたことだし、きっといいパフォーマンスができたんじゃないかな。

HRFQ : きっと今夜もそうなりますね ! さて、楽曲制作の話に移ります。あなたの楽曲は昔から他には類をみせない独特のアシッド・ベースがありますが、あのベースは現在でも例えば TB-303 のようなハード・シンセを使って生み出されたものですか?それともソフト・シンセ?

Josh Wink : 実はスタジオ付きの家に引越しをしてた関係で、今年の3月以来曲作りをやってないんだけど…。 スタジオではソフトウェアとハードウェアをどっちも混ぜて使ってるんだ。同じようなことばかりずっとやっていて飽きてくるのがいやだから、いつも何かしら違う、っていうのが好きなんだ。たまにコンピュータを使わないで、 MPC2000 を使ってシークエンシングしたり…。そんなふうに曲を作ってるね。

今、大勢のアーティストやプロデューサーが皆で同じソフトを使いすぎてるから、今の音楽はどんどん同じような感じ、同じような音になってきてるように感じるんだ。 僕はいつもバランスをとることが大切だと思ってるから、新しいものを使ってみたり、昔から使ってるものを使ったりする。そういうわけで、僕はいつもソフトウェアとハードウェアをミックス・アップしてるのさ。

HRFQ : 次はDJについてです。現在はPC一台でプレイできる便利な時代となっていますが、あなたはDJプレイの際特に必要とする機材はありますか? 例えば、あなた独自のあのループ機能を駆使したミックスはその機材を使っているのでしょうか?

Josh Wink : Redsound の Soundbite (Cycloops) だね。この手の機材は必需品だよ。僕はDJにコンピューターを使わないから、レコードを買ってきてCDに焼くんだ。今はCDでしかプレイしてないよ。 CDは移動に便利だし、航空会社が僕のレコードを無くさないか心配しなくて済むからね。 あと、 CDはレコードより小さい分、DJ中にいろんな曲をかけることができるようになるし、それに CDだと盤面に色々情報を書き込めるし。

で、今はコンピューターを使ってないけど、6年前に Final Scratch を使い出して、今は止めてしまったんだ。コンピューターを覗きこんでるんじゃなくて、「DJ してる!」 って感覚を感じていたいからね。 僕も、友達やら同業者がコンピューターを使ってると、まるでメールチェックしてるみたいに見えて、思わずDJやってるところに上がっていって 「メールチェックしてもいい?」 って言いたくなるよ。 それで 「いや、DJしてるんだけど」 って言いかえされたりして(笑)。

僕はエフェクトを使うのが好きで、プレイするすべての曲・すべてのレコードを、頭の中で作った自分オリジナルのリミックスみたいにしたいんだ。だからいつもループさせるためにサンプラーを使うし、エフェクトを使うのはその場でリミックスを作るためといえるね。

HRFQ : 長年トップを走るあなたのレーベル Ovum Recordings の成功の秘訣を教えてください。

Josh Wink : 成功してればいいんだけどね…。Ovum Recordings のようなレーベルを長いこと経営できてるのは嬉しいけど、実際、稼ぐのは中々大変なんだ。今は音楽産業自体が大変だからね。 でも、Ovum Recordings を‘94年からやっていて、多くの人が、ディープ・ハウスからテクノまで色んな種類の音楽を詰め込んだこのレーベルをリスペクトしてくれることが嬉しいな。今では、僕自身もリスペクトしてる友達や同業者、僕がファンだったような人までが、Ovumでリリースしたいからとデモを送ってきてくれるんだ。 今日は Radio Slave も東京でプレイしてるよね? 彼も僕の友達だし、Ovum に曲を送ってくれた一人なんだ。

HRFQ : ところで余談ですが、そのスマートなボディ。なにかスポーツでも?

Josh Wink : 以前、随分スポーツに熱心だったこともあるよ。ランニングにサイクリング、それにロック・クライミングとか何でもね。それで生活のバランスをとってるんだ。DJ生活は楽しいし、大好きだけど、いつも飛行機に乗ってるから、一睡もしないで移動したり、ちゃんとした食事ができなかったりする。本当大変な生活だよ。だから、クレイジーなナイト・ライフと、自分の健康を気遣うような生活…よく食べて、リラックスして、運動やスポーツをしたりする生活のバランスをとることが、僕にとってはすごく大切なんだ。

HRFQ : 本日の Womb ではどんなプレイになりそうですか?

Josh Wink : うーん…僕のプレイはいつも毎回違うものなんだよ。クラウドからのエナジーを受け取ってプレイするからね。いつも違うってことと、その違いが自然に引き起こされるものであるからこそ、僕はDJをやるのが好きなんだ。 だからハウシーなプレイをすることもあるし、もしクラウドからもっとテクノな雰囲気を感じたら、テクノをかける。 今日は1月に Ovum から出すアルバムからの曲を沢山プレイするつもりさ。タイトルは 'When a Banana was just a Banana' っていうんだけど…

HRFQ : そのタイトルを以前、確かドイツのラジオ番組か何かで聴いたんですが、本当にそんなタイトルなんですね(笑)!

Josh Wink : ああ、きっと Anja Schneider の番組だね。
Wombでプレイするのは好きだし、それに今日はアフター・アワーズだから、何が起こるかすごくワクワクしてるよ !

HRFQ : 本日はお時間ありがとうございました。

Josh Wink : ありがとう。それじゃ、また後で!

End of the interview


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