スペインやポルトガルで盛り上がりを見せるトライバル・ハウスとプログレッシブ・ハウスとの融合をいち早く表現し、妥協を許さないサウンド・セレクションと渋いアーティスト・チョイスで、東京のクラブ・シーンの中でも特に硬派な存在として異彩を放ってきた WOMB のレジデント・パーティー Session。そのレジデントDJ として活躍する Tommy Wada 氏をインタビュアーに迎え、ウエブ業界の"硬派"を自認する(?) HigherFrequency と"Session"がコラボレートしていく"硬派"なインタビュー・シリーズ、それが"Talk SESSION Series"である。
第一回目にフィーチャーされたスイスの新鋭 Robert Travis に引き続いて、その2回目のゲストとして登場するのは、スペイン出身の新進気鋭 Javi Colors。Colors & Lega、De Loren & Colors といった様々な名義を使い分けながら、トライバルの名門 Stereo Production などから作品をリリースする期待のアーティストだ。ヨーロッパの中でも随一の盛り上がりを見せつつあるスペインのシーンで頭角を現す Javi に、Tommy Wada 氏が話を聞いた。
> Interview : Tommy Wada (Session) _ Translation : Eri Nishijima _ Photo : Mark Oxley (HigherFrequency)
Tommy Wada (以下TW) : まずは、日本にいらっしゃったわけですが、今の気分をお聞かせください。
Javi Colors : 東京はずっとプレーしたいと思っていた所なのですごくうれしい! だって、どこに行っても東京のことが耳に入ってくるんだよ。テクノロジーやクラブに、お寺とか相撲とか、食べ物とか人とか…。スペインとは全く違った文化なんだよね。既にまた日本に行ってみたいと思ってるんだけど。
TW : 日本のクラブシーンって、スペインではどんな印象をもたれているんでしょうか? やはり、まだあまり知られていないんですか?
Javi : ん〜そうだね、大抵の人はあまり知らないかもしれないな。でも僕達DJは色んなポジティブな話を聞いていて、プレイしている時に感じるオーディエンスのエネルギーが凄いとか、ディスコ自体のことや、サウンド・システムとかライティングのこととかよく耳にするんだ。特に、ゲストDJのブースのセットアップのされかたのことなんかはよく聞いたことがあるね。
TW : まだあなたのことをよく知らない人のために、音楽的なバック・グラウンドを教えていただけますか?
Javi : 90年代から音楽やりだして、98年からはプロデュースも始めたんだけど、一番最初のレコードは Monarch っていうユニットとして制作したもので、Isaac Indart と Max Music と Tempomusic っていうスペインのレーベルから出したんだ。02年に Stereo Productions に移ってからは Willy de Loren とか Carlos Legaz とか DJ Cannus なんかのプロデューサー達とレコーディングしてきたよ。
TW : あなたにとってのアイドルって誰ですか?
Javi : これはもう絶対 Danny Tenaglia と Masters at Work だけど、他にも Chus & Ceballos や d-formation、それから Sandy Rivera は最高だと思うね。
TW : 世界的にクラブシーンの低迷が続いているといわれていますが、スペインは質のいいレーベルやアーティストが次々輩出されていて、この低迷トレンドとは関係ないように見えますよね。こうなっている最も大きな要因って何だと思われますか?
Javi : 個人的にはトップクラスのDJのバカ高いギャランティーなんかが原因だとは思うね。これじゃあプロモーターが稼げるわけないっていう…。あとは、それぞれの都市のクラブ人口に対するクラブの数かな。とにかく新しいプロモーターが増えすぎてるし、金儲け目的の人のせいでパーティーの雰囲気が壊されちゃってるとも感じるね。
TW : マドリッドのクラブ・ミュージック・シーンについて少し聞きたいのですが、ダンス・ミュージックで言えばどのジャンルが一番流行ってると思いますか? あと、ホットなクラブなんかあれば教えてください。
Javi : マドリッドはコマーシャライズされたクラブからほんとにクールなところまで、音も色んなスタイルがあるしクラブだらけだよ。いまはエレクトロが流行ってるかな。
TW : 一番いけてるクラブってどこですか?
Javi : 日曜の朝の Space of Sound が一番人気かな。あと日曜午後の People もね。
TW : 様々なアーティストとのコラボレーションをされていますが、あなたのスタジオでの役割っていうのはどうやって決めているのですか? あなた自身のアイデアなど、どのように取り入れていますか?
Javi : 色々なアーティストと一緒にやることで新しいアイデアが浮かんでくるし、あと、違ったスタイルの音楽をプロデュースすることも出来るからいつも楽しんでやってるね。僕はけっこう融通の利くタイプだし、いろいろ試してみたいから、いつも皆のアイデアを一つにまとめる努力はしてるんだ。
TW : Stereo Productions とは何がきっかけで仕事するようになったんですか?
Javi : あれは DJ Chus がプレーしていたあるパーティーに行った時だったかな。お互い以前やった制作現場で会ってたんだけど、僕のプレイで凄く気に入ってくれたものがあって Stereo から出さないかって話になったんだよね、そこから始まったって感じかな。
TW : あなたのミックスCDを聞かせていただいたんですが、正に私達のパーティー SESSION のコンセプトにぴったりだと思いました。我々は、プログレッシブとトライバル・サウンドの完璧な融合を目指しているんですが、ご自身でミックスする時には、どういったアプローチをしますか?
Javi : Stereo でやることが出来たのはかなりラッキーで、何を使うかっていう点では本当に自由にやらせてもらえたし、いつものセッションでよくプレイした曲をセレクトすることが出来たんだ。75分のCDの中にいつものセッションをそのまま感じてもらえるようにしたかったんだけど、いつもは大抵3時間はプレーするからけっこう大変だったんだよ。でも結果オーライだったからね。
TW : 自然な流れでミックスしますか?それとも、前もって構成を考えたりするんでしょうか?
Javi : 僕の場合は、いつもその場その場かな。まず来てる人をよーく観察してからだけど、大抵まずかなり激しい感じで始めてから少し抑えて、また上げる!そんな感じかな。常に変化させるようにしてるし、来てくれてる人と遊びたいからね。
TW : 最近のプログレッシブ系のDJの中にはファンキーなエレクトロに傾倒する人が多いような気がします。あなた自身はどうですか?
Javi : エレクトロは特にヨーロッパで流行ってるよね。僕もセッション中にエレクトロ・ハウス混ぜたりするし、自分を含めた他のプロデューサーもある程度はエレクトロ・サウンドを使うようになってきてるよ。ただ、自分のスタイルを完全に変えてしまうDJはどうかと思うな。特にファンにとってね。エレクトロだけのセッションの時は名前を変えるべきなんじゃないかな。
TW : スタジオで使ってる機材について教えてください。
Javi : マックの G4と、シーケンサーは Logic 7 で、ミキサーはヤマハの 03D なんだけど VSTプラグインも音作りに使ってるかな。ドラムの再生には RMX が最高だね。
TW : 今後のリリース予定などお聞かせください。
Javi : 今年の夏はいろんなアーティストのリリースがあるんだよね。Javi Colors & Angel Mora "Bahia de Palma"、 Colors & Cannus "Rockstar"と、リミックスは Simon & Shaker "in the room "、Sean Miller "Swells"、Colors & Chus / stereoproductions。あと Chus と一緒に Stereo Productions から"Balearica" っていうCDを出す予定かな。
TW : 最後に日本のファンにメッセージを。
Javi : プレイするときのエネルギーと音楽に対するセンスには、ほんとに感謝してるよ!
End of the interview
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パーティーレポート : STIJL on Mobile presents Session feat. Javi Colors @ WOMB (2005/06/18)
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