Extrawelt Interview vol.2

ドイツ、ハンブルグ郊外出身の Arne Schaffhausen と Wayan Rabe によって構成される Extrawelt。これまでに Border Community や Traum、Cocoon といった名門レーベルから作品をリリースし、その名を知られているだけでなく、かつては Midimiliz、Spirallianz、The Delta といった名義でも多数の作品を発表してきているベテランアーティストである。今回は、2010年4月16日～18日に名古屋、東京、大阪の3都市を駆け抜ける日本ツアーの直前という絶好のタイミングでインタビューを実施。何度も訪れてきた日本に対して抱いている印象や思いから、日々の活動状況の詳細に至るまで、事細かに語ってもらった。

20年近いキャリアを持ちながらも、今なお精力的に活動を続ける二人の、音楽に対する尽きることのない探究心を感じさせる丁寧なコメントの数々からは、彼らの貪欲かつ真摯な姿勢がにじみ出てきている。

Interview : Hidehiko Takano (affordance)

-- 久々の来日となりますが、前回のツアーで印象に残っていることを教えてください。

Extrawelt :　日本は何度も訪れているけど、世界中のどの国とも比べることの出来ない特別な場所だよ。前回のツアーの際には箱根と京都に寄ったのがとても思い出深いね。日本の郊外の町には、豊かな文化や美しいアートがあるし、ピースな雰囲気だから好きなんだ。

-- 今回のツアーに向けて（行きたい場所、見たいもの、食べたいものなど）何か特別なプランはありますか？

Extrawelt :　残念ながら今回は短期間しか滞在できないから、公演以外のことはあまりできないんだ。でも、３つの公演はもちろん、最高のしゃぶしゃぶと焼肉を食べるのが楽しみだよ。できれば素敵な温泉にでも行きたいんだけどね。あとは、いつも東京で行くロックショップとね。

-- 今回のライブはどのようなセットを期待してよいのでしょうか？未発表の新作、あるいは前アルバムからのトラックなどは聞けるのでしょうか？

Extrawelt : 聞いてのお楽しみだよ！ただ、一つ言えるとすれば、僕らが常にセットを更新しているってこと。スタジオでトラックを仕上げたら、すぐにプレイして、しっかりとしたサウンドシステムで確認したくなるんだ。それと、僕らは常に即興性、ジャム要素を取り入れるようにしているってこと。これは僕らにとって一番エキサイティングなことであると共に、困難でチャレンジングなことでもあるんだ。

-- 東京公演の会場となる eleven はかつて Yellow という有名クラブがあった跡地にオープンした新しいクラブですが、その Yellow についての思い出や、持たれている印象を聞かせてください。

Extrawelt : Yellow には何年か前に出演したことがあるけど、とてもよい思い出だよ。素敵なパーティがいくつも開催されきた場所でプレイできたのは嬉しかったし、今回、新しい名前のクラブになったとしても、空間にその魂が残っているんじゃないかな。

-- 06年12月に実施した当サイトのインタビューにおいて「Midimiliz 等の名義での活動を休止はしないが、Extrawelt に一番注力していく」と回答されていましたが、今もこの考えに変わりはありませんか？あるいは過去の名義での活動の再開や、新たな名義での活動などは予定されていますか？

Extrawelt : ここ数年、Midimiliz 名義で何枚か作品をリリースしてきたよ。ポルトガルのレーベル Sonic Culture とか、 Takaya Sato が手がける Gemini Records とかからもね。でも、一番注力してるのが Extrawelt であることは変わらないね。

-- アルバム "SCHONE NEUE EXTRAWELT" を Cocoon Recordings からリリースし、ライブアクトとして Cocoon Booking に所属されるなど、Cocoon と良い関係を築かれているようですが、日本において Cocoon は Sven Vath が手がけるレーベル、というイメージはあるものの、詳細のメンバーや活動内容はあまり知られていません。具体的にどのような関係で仕事をされているのか教えてください。

Extrawelt : そうそう。Cocoon とは実に良い関係を築けているよ。彼らと仕事できていること自体がとても嬉しいことであり、誇らしいことなんだ。ヨーロッパだけでなく、世界的に見ても、エレクトロニック、クラブミュージックのシーンで最も影響力のあるプラットフォームの一つだと思っているよ。それに、テクノミュージックのゴッドファーザーとも言えるあの Sven Vath によって設立されたんだからね。イベント開催から、ブッキング、レーベルまで、あらゆる領域において素晴らしいクオリティーで活動しているんだ。僕らの作品をリリースし、ブッキングを引き受けて、ヨーロッパを代表するクラブやフェスティバルへの出演をアレンジしてくれているよ。今はメンバー全員、仕事上のプロフェッショナルな付き合いだけでなく、個人として付き合いがあるし、他の所属アーティストとの交友関係も広がっているんだ。Cocoon Club の音響担当である Johannes Heil とか、レーベルのA&R、Pauli Steinbach とかね。とにかく、素晴らしい組織に携われていることがとても嬉しいよ。

-- 日本では、お二人の拠点であるハンブルグのクラブシーンについて（ベルリンと比較して）はあまり情報が入ってきません。シーンの現状、見所などを教えてください。

Extrawelt : ハンブルグのシーンはベルリンとは少し違うけど、間違いなくドイツの中でも最も魅力的なシーンの一つだよ。Watergate や Berghain みたいな有名クラブは無いけど、毎週末たくさんの人でにぎわう大きなクラブはいくつかあるし、小さくて心地良いクラブもたくさんあるんだ。ハンブルグを拠点とした魅力的なミュージシャンやレーベルもあるし、自然な形で成長した健全なシーンだよ。常に変化し、発展し、新たなアイディアが生まれる余地が出来続けているんだ。それこそ僕らのスタジオから数百メートル離れた場所で、60年代にあの Beatles が最初の公演を行った時以来、ずっとね。ハンブルグを拠点とするレーベルとしては Dial、Smallville、Pokerflat が人気で、代表的なクラブとすれば Golden Pudel Club、Hafenklang、Uebel & Gefaehrlich、Ego、レコード屋では Smallville、ReKORD、Otaku なんかが有名だよ。

-- 別名義を含めると活動歴はゆうに10年を超えていますが、お二人の音楽的なインスピレーションはどこから来るのでしょうか？

Extrawelt : 花のおかげだよ、、、なんてね。
（インスピレーションの源は）音楽そのものだよ。音楽が僕らを突き動かしてくれているんだ。だから、僕らは未だにクリエイトすることを楽しめているんだ。音楽以外に特別なモノも方法も無いよ。

-- 制作における二人の役割分担のようなものはありますか？また、ライブでの役割分担や機材の使用状況なども教えてください。

Extrawelt : 僕らは全て半々で行っているよ。スタジオで特定の役割分担は無いし、出来る限りジャムセッションのようにしているのが楽しいんだ。音楽を全てコントロールしてしまうのではなく、時として音楽にコントロールされるようにね。作品を作る時の始め方は曲によって常に異なるし、しばしば、プロセスを完全に別物に変えるようにしているんだ。

ステージでは、互いに自分の担当する機材を用意しているよ。テクノミュージックで本当の「ライブ」として自分たちの作品をみんなに聞かせるのはとても難しいことだけど、できる限り即興で演奏しようとしているよ。10人くらいで機材満載のトラックを引っ張り回すなんてことは出来ないから、即興性を実現できる自由度を保ちつつも、機材をベーシックなものに絞っている、という感じだね。

-- 活動スケジュールを見る限り、ドイツを中心に、ヨーロッパでのツアーが多いようですが、他に興味のある国・地域はありますか？

Extrawelt : 今、ブッキングエージェントが12月のオーストラリアツアーとか、いくつかの海外公演を調整中だよ。ただ、ヨーロッパのクラブシーンはとても進歩的で、小さな都市でもプレイしたいと思う魅力的なクラブがあるんだ。郊外の町に行っても、みんなが演奏する全てのトラックを知っていたりしてとても楽しいんだ。ドイツの各地にもとてもユニークなシーンがあるしね。

-- 今後の作品のリリース予定を教えてください。

Extrawelt : 4月から6月にかけて、12inch を3枚リリース予定だよ。一つはスコットランドのレーベル Darkroom Dubs から 'Neuland EP' というタイトルで、他には Oliver Huntman のレーベル Ideal Audio と Traum Schallplatten からもね。あとは、一年中ツアーをしているからしばらくかかってしまうかもしれないけど、次のアルバムの製作に取り掛かり始めたところだよ。

-- 最後に、サイトを見ている人たちやパーティを楽しみにしている人たちにメッセージをお願いします。

Extrawelt : シートベルトをお締めください（Please fasten your seatbelts）！

End of the interview

[ Extrawelt Japan Tour Info ]
4月16日（金）【NACHT TOUR】 - Extrawelt Japan Tour 2010 - @ RADIX, Nagoya
4月17日（土） Real Grooves Volume 40 Special Event - The Return @ eleven, Tokyo
4月18日（日） EXTRAWELT JAPAN TOUR 2010 -TRIANGLE Sunday Afternoon Special @ TRIANGLE, Osaka

Extrawelt 'Was Ubrig Bleibt' Official Video

INTERVIEW : Extrawelt Interview (2006/12)
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INTERVIEW : NO BORDERS feat. EXTRAWELT @ Space Lab Yellow, Tokyo (2007/01/07)