「レイバーっていうのは自身の人生の喜びをパーティーで感じるような人間のことなんだ。レイヴミュージックを聴いて、それに狂ったように夢中になったりね。中にはそのためにドラッグを使う人もいる。確かにそうだね。だけど、僕が言ってるのは別にドラッグを使うことじゃなくて、パーティーでその時を共有する人や素晴らしい音楽に快感や満足感を得ることなんだ。」
The Riotの 'Tsunamy' や 'Twister', 最近では 'Train Number 1' などの Techno/House 界の名曲を世に生み出した世界的にも有名な20代の天才プロデューサー Dusty Kid はそう語る。またそれだけのキャリアや知名度のために浴びる注目を時に不快に感じることがあると言う。
「熱狂的なファンにたかられると、時々不思議な気持ちになるんだ。僕は自分のことを有名だなんて思ったことはなかったんだけど、国によってはテクノ中毒者達がたくさんいて僕のことをスーパースターみたいに扱うんだ。それを嬉しく感じることもあるんだけど、たいていの場合は嫌な気分になるね。
現在彼が最も力を入れているのは彼のデビューアルバム "A Raver’s Dairy" であり、彼はこのプロジェクトに大きな期待と熱意を抱いているという。
「この作品は 『コンセプトアルバム』 だと思ってて、ずっと僕がやりたいと思ってきたことなんだよね。僕の個人的な感情やレイヴパーティーに対する視点っていうのを表現したいっていうところから始まったんだ。この "A Raver’s Diary" は正にそれが形にできたと思うし、その制作は素晴らしい経験になったよ。」
子供の頃、長期にわたってクラシック音楽をエリート音楽学校で学んだこともあり、彼の手がける作品には深みや感情を感じられる。しかし、今回の "A Raver’s Diary" ではシリアスなテクノに力を入れたことを強調した。
「アルバムの中の数曲はフロア向けに作られているんだ。すでにアルバムを聞いた人達からエネルギッシュかつアンダーグラウンドなテクノっぽい始まりは予想外で驚いたって言われたよ。特にアルバムの最初の2曲 'Here Comes The techno' と 'The Underground Persistence' はあえてクラブ向けなものにしたから、まさにその狙い通りだね。」
Interview & Introduction : Jonty Skrufff (Skrufff.com)
Translation : Shogo Yuzen
Skrufff (Jonty Skrufff) : 制作の時はどんな風に曲を作り始めるの?ビート、ベース、メロディー、リフ、それとも他のものから作るのかな?
Dusty Kid : 時によって違うけど、大体は何かピンと来るものがあるまで適当にピアノを弾くところから始めるんだよね。次にそのメロディーにうまくマッチするビートを選ぶんだ。頭の中で曲が細かいところまで出来上がってる時は、それをただ形にするんだ。けど、頭の中で聴こえてるものを完璧に再現することができないから、これが一番大変な作り方なんだ。
Skrufff : 2007年にリリースされたテクノ・トラック 'The Riot' を作るのに、最初から最後まででどれぐらい時間がかかったのかな?
Dusty Kid : たしか二日ぐらいだったと思う。あの曲の中で上がっていく音があるでしょ?あれを録音して、それにビートを加えただけなんだ。最近気づいたんだけど、Justice は彼らの楽曲であのうるさい音をサンプリングしたみたいだね。
Skrufff : あの曲のイントロは15秒のオフビートだよね。DJでミックスをする時にはちょっと難しいけど、DJ達を混乱させるような目的はあったのかな?
Dusty Kid : 99%のクラブ向けの曲のイントロはDJがミックスしやすいようなビートにしてあるよね?基本的に僕はそういうイントロが好きじゃないから、違うものが作りたかったんだ。僕はDJではないから、DJのようには考えていないんだ。僕はプレイ用の「トラック」を作ることじゃなくて、作品としての「曲」を作りたいんだ。DJプレイに関して言うなら、今はもうみんながプレイをする時代だよね。だけど、僕は他の人の作品じゃなくて自分で作った音楽をプレイしたいんだ。5年以内はほとんどのDJが自分の曲をライブするようになると思うよ。
Skrufff : 2007年の僕とのインタビューで「みんなはテクノスターになりたいと思ってる。だけど僕のゴールは現時点ではすごく遠いけど、クラブ界よりもポップ界に君臨することだ」って言ってたよね?今もその野望は変わっていないのかな?
Dusty Kid : 今も僕はポップミュージックの世界に魅力を感じてるし、もちろん今でもポップソングを作ってる。そして、いつか Coldplay や Madonna みたいな僕が好んで聴いているアーティスト達と仕事をするっていう希望も未だに捨ててないよ。
Skrufff : 君はサルデーニャ出身だけど、かの有名な Flavio Briatore の Billionaire Club には行ったことってあるのかな?
Dusty Kid : いや、行ったことないし、正直なところあんまり興味もないね。あのクラブはたくさんのVIP達が訪れたからすごく有名になってるけど、そういう環境っていうのに別に魅力を感じないんだ。
Skrufff : 去年の7月に地元の人たちが Flavio Briatore と彼のゲスト達に水や砂を投げつけるっていう事件があったけど、それについてはどう思う?今イタリアやサルデーニャではお金持ちやセレブ達の状況はどうなってるのかな?
Dusty Kid : それは僕が一度VIPになってみないとわからないかな(笑)
Skrufff : 地元の人たちは君の成功を羨んだり、妬んだりはしてないのかな?
Dusty Kid : それはないと思う。ないと思いたいね。ここのみんなは僕の成功を喜んでくれていると思うよ。
Skrufff : 昔の音楽学校の生徒や先生達と連絡は取ったりするのかな?
Dusty Kid : いや、音楽学校にいた人とは誰とも連絡を取ってないね。特に理由はないんだけど、あそこに居た人はみんなつまらなくてお高く止まってるイメージしかないんだ。
Skrufff : 4月にベルリンの有名クラブ、Tresor でプレイをするよね?どんなショーにしようと思ってるのかな?このクラブの知名度や歴史はどれぐらい認識してるの?
Dusty Kid : Tresor については何度も耳にしてるんだけど、行ったことがないしすごく興味があるね。まだショーについては考えていないけど、うまく行くことを願ってるよ。この Tresor でのショーがアルバムに向けての一回目のギグになるからね。
Skrufff : 前回のインタビューでベルリンに引っ越すかもって言ってたけど、今でもそれは現実的な選択肢なのかな?
Dusty Kid : いや、ベルリンに引越すことは絶対ないね。ここのところ数ヶ月ギグばっかりをやってて、もうクラブに行くことに楽しみを感じなくなっちゃったんだ。数週間だけベルリンに滞在して音楽シーンで何が起こっているのかを知るのはいいけど、住むのはやっぱりサルデーニャだね。僕はあの島が大好きだし、6月までは帰れそうにないけどサルデーニャに新しい家も買ったんだ。ここ以外の場所には住めないよ。
Skrufff : ロンドンとベルリンを比較した時、何か感じる?
Dusty Kid : ロンドンは60年代から90年代まで音楽とファッションの中心だったと思うんだ。これは僕個人の見解だけど、イギリスの人たちはまだ自分達が世界の最先端だと信じていて、他の場所、特にベルリンにもいい音楽や素晴らしい文化があることに気づいていないんだ。(気づかないフリしてるって言った方が的確かな?)ベルリンはエレクトロニック・ミュージックのシーンを1999年以来支配してると思う。だからたくさんのDJやミュージシャンがベルリンに引っ越すんだと思うしね。
End of the interview
Dusty Kid "A Raver’s Diary" は4月20日、 Boxer Recordings からリリース予定。
日本では5月1日(金)、WOMB にて、Sterne のゲストとして来日が予定されている。
>>イベント情報はこちら
関連リンク
Dusty Kid Myspace Page
Boxer Recordings Website
Boxer Recordings Myspace Page
WOMB Website
Skrufff.com Website