ドラムン・ベース・シーンの No.1 DJ として知られる DJ Zinc。’90年代には Ganja レーベルから 'Super Sharp Shooter'、 Frontline から '6 Million Ways' などのヒット作を放ち、’96年には DJ Hype、 Pascal と共にレーベル True Playaz を設立。その後ハウス~テクノ・シーンまでクロスオーバー・ヒットする '138 Trek' を生み出した自身のレーベル Bingo Beats を設立し、現在に至るまで次々とシーンに影響を与えるヒット作をリリースしてきた。
まさに重鎮と呼べる彼が11月に Unit で行われた Drum & Bass Sessions の12周年パーティーにゲスト出演し、「クラック・ハウス」と呼ばれるニュー・パフォーマンスを盟友 Dynamite MC と共に披露。そんな熱狂といえるステージングを行う直前に、 Unit の控え室にて最近のプレイ・スタイルやニュー・アルバムの話、さらには Drum & Bass Sessions についての思いや、ドラムン・ベースDJならではのMCとのセッションについてなど、盟友 Dynamite MC を加え、 HigherFrequency が話を聞いた。
Interview & Translation : Yuki Murai (HigherFrequency) _ Introduction : Masanori Matsuo (HigherFrequency)
HigherFrequency (HRFQ) : 少々お疲れのようですが、先日の福岡、大阪での感触はどうでしたか?
Zinc : 良かったよ、本当COOLだったね。 疲れてるって…まあ俺達毎晩疲れてるからな。
Dynamite MC : ああ、疲れてるよな。
Zinc : 今日も一旦ホテルに引き上げて寝てから、あとでこっち(UNIT)に戻ってきてプレイするつもりだよ。早い時間の飛行機にしたものだから、昨日も一昨日も早く起きなきゃいけなくってさ(笑)
HRFQ : そうですか…それではなるべく時間節約で行きたいと思います。 「House Mix」と題された11月のミックスをお聴きしたんですが、かなりのファンキー・ハウス路線ですね!最近のDJスタイルはドラムンベースよりも今回のような4×4スタイルの時が多いですか?
Z : ああ、ロンドンでは「ファンキー」をプレイしてるよ。ちょっとややこしいんだけど、「ファンキー・ハウス」と呼ばれてる音はもう随分と長い間、あちこちで流行ってるやつだけど、今、ロンドンではただ単に「ファンキー」って呼ばれてる音があってね。どんな感じかっていうと…ハウスっぽい感じではあるんだけど、ちょっと違うんだ。少しハードで、ベースラインがあって…。僕もそういう音はちょっと作ったりしてるけど、11月のプロモMIXでは、そのロンドンで言うところの「ファンキー」は1曲か2曲だけ入ってるかな。他は、なんて呼べばいいのかよくわからないな。 「House Mix」って付けたのは、テンポがハウスのテンポだからで…
D : …えーっと、「クラック・ハウス」か?
Z : そう!最近僕らは「クラック・ハウス」って呼んでるよ。それがあのMIXに入ってる音の正体さ。
HRFQ : 「クラック・ハウス」というのは新しい言葉ですね!初めて聴きました。
Z : ああ、僕にとっても新しい言葉だよ。誰にとっても新しい言葉じゃないかな。
D : 良かったら、その言葉広めておいてよ。
HRFQ : 「ファンキー」のスタイルについてもう少し説明していただけますか?
Z : そうだな、www.rinse.fm を聴いてみるといいかもしれない。 Crezy Cousins、GEENEUS, SLIMZEE なんていうDJ達がいるよ。ただ、本当に説明するのが難しいんだ。例えば「ファンキー」のパーティーに行くとテック・ハウスなんかもかけてたりするんだ。ピークタイムにテックハウスがかかって盛り上がってると、「このファンキーは最高だ!」なんて言ってたりするし…。 レコード屋ではBengaの音を聴いて「この曲はいいファンキーチューンだね!」なんて言うし…いや、それはダブステップだろ?という感じだよ。 「ファンキー」という音楽は間違いなくあるんだけど、むしろシーンのようなものかもしれないね。GEENEUS はファンキーの第一人者だから、彼の音をチェックしてみてよ。
HRFQ : HigherFrequency の読者はテクノ / ハウス系リスナーが中心なのですが、ドラムンベースに長けたあなたが4×4に興味を持った経緯が知りたいです。
Z : そうだな…だいたい1年半前かな、それより前は4×4なんてベースラインも単調だし、つまらないと思ってたんだけど、その頃にSwitchの音源を聴いたんだ。あとSindenだとか、あの辺の音だよ。あれはハウス・ミュージックだけど、パーティー・ミュージックでもあるだろ? それ以来、レコードも買ったりして、聴きはじめたわけだ。 それとあと、DJのNic Fanciulli も僕におすすめの音源を聞かせてくれてね。きっかけはそんなところかな。 友達が勧めてくれて、しかもエキサイティングな音だなと思えたからハマりはじめたんだ。
HRFQ : とても興味深いきっかけですね! さて、本日の Drum & Bass Sessions では、盟友 Dynamite MC やダブステップ・シーンの雄 N-Type との豪華共演も実現されますが、MCと絡むDJプレイの魅力を教えてください。
Z : うーん…特にないし、むしろ悪くなるかもな!(笑)。 MCと組んでやるプレイのいいところは、そのMCがいいMCの場合は…例えばDynamiteみたいなMCの場合は、音楽をDJ一人ではできないような、ネクスト・レヴェルの段階まで引き上げることができると思う。 DJがよければ、MCも素晴らしくなる。DJとMCが良いコンビネーションを築ければ、DJが自力で出せるベスト以上のものを表現できるんだ。 もしMCがダメな場合は…全部クズだね(笑)。 本当酷いもんだよ。
HRFQ : お二人の出会いから今に至るまでのエピソードをお聞かせ下さい。
Z : 何故かって、ドラムンベースのシーンにいたからね。クラブに行けば僕はDJをやってたし、DynamiteはMCをやってて、そうするうちに「どうも、はじめまして!」ってなったわけだよ(笑)。「それじゃ、また今度!」とか何とかやってるうちに、一緒に仕事をするようになったんだ。 僕はDynamiteと一緒に仕事するのが好きだから、(以前)日本に来たときに 「今度は是非、Dynamite MCも一緒に呼んでくれ」って頼んだ位さ。 そんな感じで一緒にやってるな。
HRFQ : お互いの魅力について語りあっていただけますか?
D : ん? Zincのことをどう思ってるかって?
Z : どう思ってるんだよ?(一同笑)
Z : 僕にとってDynamite MCは一番好きなMCだよ。ステージ上でのすごいプレゼントみたいなもんだね。 彼がMCをしてる時は皆が彼に注目するし…。一緒に仕事することで、仕事がもっと楽しくなる存在だね。
D : ZincはいいDJで、いいプロデューサーでもあって、しかも音楽的にすごく冴えているね。 とてもプロ意識がしっかりしていて、しかも笑いも分かってる(笑)。
HRFQ : あなたのレーベル Bingo Beats ですが、今年は怒涛のリリースラッシュでしたね。DJとしても忙しそうですが、今年はハイペースに曲を作り続けたのですか?
Z : いや、今年は曲は作ってなくて、リリースだけ沢山出したね。 去年ドラムンベースの曲を作るのはやめたんだけど、すでに作ってたトラックがたくさんあって…9月までのリリース分があったんだ。
HRFQ : それはすごいですね。 曲は月に何曲くらい作っていたのですか?
Z : そんな沢山じゃないけど、大体2~4曲かな。でも毎月作ってたからね。
HRFQ : 近々アルバムのリリースは予定されてますか?
Z : ああ、ぼちぼち出来上がるとこだよ。ハウスっぽいんだけど、ちょっと緩い感じで、ベースラインがしっかりしてて黒い感じで、サンプリングがあって、ブレイクビーツも入ってて…。2曲くらいMyspaceにUPしてあるよ。 さっき言ってたDJ mixの最後のほうで、女性のMCが早口で歌ってる曲があったと思うけど、それがそのうちの1曲さ。あとの1曲は、男性がMCしてるやつだね。 まだはっきりとはしてないけど、来年にはリリースするよ。
HRFQ : ドラムン・ベースの曲は入らないんですね。
Z : ああ、そのアルバムには入らないね。
HRFQ : それはBingo Beatsからリリースするつもりですか?それとも、あなたのデビューアルバムが確かメジャーレーベルからのリリースだったと思いますが、そのようなところからリリースするのですか?
Z : あのアルバムを出してから音楽業界の状況は随分変わってしまったし、今はメジャーと仕事をするだけの理由もないからな。 当時はディストリビューションもプロモーションも、プレスの品質もしっかりとしたものを提供してくれたけど、最近はすっかり落ち込んで、ディストリビューションはともかく、プロモーションは自分でインターネット上でやってくれというような感じだからね。ディストリビューションだって自力でやろうと思ったらできるし、ディストリビューターが何をしてるかって、彼らは単に曲をiTunes (Music Store) にUPしてるだけだ。 もしかしたらメジャー・レーベルからリリースの話があるかもしれないけど、僕は別にやる気はないよ。自分でやってるので十分だな。
HRFQ : 今日はなんとアニバーサリー・イベントということで、どんなセットになりそうですか?
Z : オーガナイザーのカンバさんは去年も同じ時期にも僕を呼んでくれたんだけど、たぶんこれで3回目だよな。今日はGoth TradやN-Typeもいるし、ちょっとハウスをプレイして、あとはドラムンベースという感じだな。1時間半か45分か、そのくらいハウスで、それであとはクレイジーにドラムンベースをプレイするよ。
HRFQ : '97~'99、'03~'07年と過去に何度となくDrum & Bass Sessionsに出演されていますが、Drum & Bass Sessionsへの思い入れをお聞かせください。
Z : Drum & Bass Sessionsが何って、もうカンバさんに尽きるね(笑)。 音も、ハコも、人もすごくいいパーティーだな。 実のところ、去年の年末からだから…もう1年くらいDJはしてなかったけど、カンバさんには「また日本でプレイしたいから、是非Drum & Bass Sessionsに呼んでくれ」って頼んでたよ。 つい3週間前からDJ業を再開したばっかりなんだけど、この1年間の休業の間でも絶対にプレイしなきゃと思ってたのはこのパーティーだけだよ! 他のクラブからも声は掛かってたけど、全部ノーって言ってきたんだ。 だから、このパーティーは自分が本当に楽しめるパーティーだと思ってるよ。
HRFQ : また長年の来日を通して、日本のミュージック・シーンはどのように変化していると思いますか?
Z : いや、特に…いつ来ても、毎回いい感じだよ。僕は毎回楽しいから、別に変化は感じないな。
HRFQ : プライベートでは音楽以外にどのようなことに興味がありますか?
Z : ちょうど先週4歳になったばかりの息子がいて、週に3日は彼と一緒に過ごしてるな。 あと、スタジオに篭って音をつくるのは大好きだし、それが自分が本当に好きでやってることだからな。好きなことができていて、自分はすごくラッキーだと思うよ。
HRFQ : 最後に日本のファンへメッセージをお願いします!
Z : 一番大好きな場所、日本に来れてうれしいよ。…あ、ロンドンと日本か(笑)。ロンドンが好きだし、日本も好きさ。MIXを聴いてくれた人、どうもありがとう。 クラブに遊びに来てくれた人も、どうもありがとう。
HRFQ : お時間ありがとうございました。
End of the interview
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