HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

DJ Oji Interview


3月から始動したハウス・ユニット STUDIO APARTMENT によるイベント+ミックスCD連動プロジェクト MUSeUM の第2弾目となるゲスト・アーティスト DJ Oji が5月19日(金)に行われたイベント MUSeUM に出演するために初来日を果たした。 同名のミックスCDには、シーンでスマッシュ・ヒットとなっている “Esteban” が収録され、Disc 2 には STUDIO APARTMENT による “Isn’t She Lovely” のミックスが2ヴァージョンにわたって収録された DJ Oji。今年日本でアルバム “Spiritual Journey” がリリースされ、ブレイクが期待される彼に、地元バルティモアのシーンや、アルバムのコンセプトなどについて訊いた。 。

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> Interview : Nick Lawrence (HigherFrequency) _ Translation & Introduction by Kei Tajima (HigherFrequency)

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Higher Frequency (HRFQ) : はじめに、今日はインタビューのお時間をありがとうございます。日本へようこそ。

DJ Oji : ありがとう。

HRFQ: 今回はDJギグのための来日ですが、あなたの地元であるバルティモアでのギグと、海外のギグで、大きく違うこととは何ですか?

そりゃ人の多さだよ!アメリカ中にごまんとある都市の一つの、またそのうちの一つのクラブでプレイするより、海外でプレイする方が断然 ハウス・ミュージックへの理解の高さを感じるさ。アメリカで一番大きなイベントと言えば、世界中から人々が集まる Winter Music Conference くらいなんじゃないかな。一般的に言われていることではあるけどね。でも、海外では普通の週末のイベントでも100人から1000人は集まるんだ。だからそれが一番大きな違いだろうね。

HRFQ : では、あなたの音楽についてはどうですか?国内と海外では異なりますか?それとも、すべてのパーティーを同様に扱っていますか?

DJ Oji : どんなパーティーにも同じ気持ちで臨んでいるよ。僕はクラブでお客として踊るのも好きでね。見に行った DJ のプレイが僕の期待に沿わなかったパーティーもあったよ。たぶん DJ は、雰囲気に合わせて音を変えなきゃいけないと思ってしまったんだろうね。僕が自分自身で決めていることは、“クラウドに好かれるか”“嫌われるか”のどちらかしかないということ。それだけさ。

HRFQ : あなたのアルバム “Spiritual Journey” を聴き始めるにあたって3つのルールがありますよね。一つめは…

DJ Oji : 「自分らしく」。それがルール。それはこの音楽が可能にすることの一つであると思うし、この音の中に入った時に、みんなにして欲しいことなんだ。多くの人にとって、“踊る”とは、“発散する”ことだよね。重い荷物は入り口に置いてしまって、音の中では自分らしくいて欲しいんだ。「一目も気にせず踊れ」ってこと。それがすべてさ。

HRFQ : あなたが今年の2月にリリースしたアルバム“Spiritual Journey” が、New World Records から日本盤として発売されることになりましたが、いかがですか?

DJ Oji : すごくエキサイティングだよ。実は、僕がキャリアの中で願い続けたことの一つは、日本でプレイすることだったんだ。だからこの一ヶ月、そしてこの1回の旅のあいだで、多くのことを実現出来たよ。日本に来てプレイするだけでも嬉しかったと思うけど、日本でアルバムをリリースする機会も出来てしまったなんて本当に驚きさ。正直、信じられないくらいだよ。

DJ Oji Interview

HRFQ : タイトルの “Spiritual Journey” には、何か特別な意味やコンセプトがあるのでしょうか?

DJ Oji : そうだね。このタイトル・ソングはダンス・フロアでの経験を物語っているんだ。パーカッションに関する意味合いが強くて、どのようにしてパーカッションが人々の心を掴んで、コントロール出来ないほどにしてしまうかを表してる。すごくスピリチュアルで、聴くものの心を奪ってしまうような音。目には見えないけれど、音は君がどこにいるかを知っている。それは…って歌詞をそのまま盗んじゃったよ。(笑)それは、言葉に表せるほど実体的なものでもなくてね。だから僕らすべてに触れることの出来る、音の中に流れる魂というかたちで語りかけてくるんだ。それがこの旅… ”Spiritual Journey” (魂の旅)なのさ。個人的な意味合いもあるんだ。この曲では僕の息子がバック・グラウンドで歌っていてね。僕もパーカッションを叩いてるんだ。だからこの曲が ”Spiritual Journey” (魂の旅)の、そしてアルバムの始まりなのさ。

HRFQ : パーカッションのことは、私たちも質問してみたかったんです。アルバムには、あなた自身がボンゴやコンガを演奏されているトラックが数曲含まれていますよね。こういった楽器を自分で演奏するようになった理由を聞かせてください。

DJ Oji : 驚いたな、今まで誰にも聞かれたことがない質問だよ!どうやって応えたらいいかな(笑)。いつから叩き始めたんだろう。曲をつくり始めたその時からずっと、パーカッションに重点を置いた曲作りをしてきたとは思うけど、以前は楽器を使うよりもサンプリングばかりしていてね。だから自分でコンガを買って、練習したんだ。僕はブルックリンで育ったんだけど、子供の頃、母親がよく Dance Africa っていうイベントに連れて行ってくれてね。そこにはいろんなダンス・グループがいて、パーカッションに合わせて踊っていたんだ。だから以前からパーカッションに対して興味はあったんだけど、ミュージシャンとして楽しむようになったのはつい5〜10年前のことだね。演奏には自信があるよ。それとも、楽しんで演奏出来るようトライしていると言うべきかな。常に学びながらやっていて、演奏するのは僕しかいないから、丸一日かかることもあるんだ。何度も失敗しては、やり直してる。音を聴くとドラマーが5人位集まって演奏してるように聴こえるかもしれないけど、実際に叩いてるのは僕だけなんだよ。

HRFQ : その他にあなたの音楽で重要な要素といえば、ヴォーカルだと思います。ヴォーカリスト選びはどのように行っているのですか?

DJ Oji : いい質問だね。幸運なことに、僕は素晴しいヴォーカリストたちに恵まれていてね。しかもみんな僕が今住んでいるバルティモア〜DC間のエリアに集中しているんだ。僕が一緒に仕事をしているヴォーカリストはみんなユニークな声をしていてね。僕なんて、目を閉じたって誰が歌っているか分かってしまうくらいだよ。僕が成功したことと言えば、アーティストすべてと友達になれたということかな。そんな友情を通して、すごく近い関係になれば、僕が曲を書いたり、逆に彼らが曲を書くこともある。ただ僕が言えるのは、誰一人として、他のヴォーカリストのために書かれた曲を歌うことは出来ないということ。みんな素晴しい仕事をしてくれるよ。でも今回は、Pedro を紹介してもらって本当にラッキーだった。さっきも言ったように、試行錯誤しながら曲を作っていたらある曲が出来てね。自分で歌ってみたんだけど、最悪だった。だから誰かを見つけなきゃと思っていたところで Pedro に会ったというわけさ。この曲に関しては、彼以上にピッタリな人を見つけられなかったね。たとえ応募をかけて、たくさんの人に歌わせたとしても、彼に勝る人はいなかったはずだよ。

HRFQ : 幸運にも素晴しいアーティストに囲まれているということですが、ハウス・シーンが確立しているニューヨークを去って、どちらかというと、ハウスとは無縁なバルティモアに移り住んだことに後悔はありますか?

DJ Oji : バルティモアがハウスに無縁なのは事実だね。ただ、「ニューヨークを去っていなかったら、自分が今まで辿ってきたのと同じ運命を辿っていたか」ってことを良く考えるんだ。僕のスタイルはユニークだと考えたいね。ブルックリンやバルティモア、そして僕のパートナー Pope の出身地であるシカゴ…こういった都市の影響を少しずつ受けることが出来たから、自分なりのスタイルを形成することが出来たんだ。僕たちのサウンドをバルティモア・サウンドと表現する人もいるけど、実際に僕ら二人のうち一人としてバルティモア出身はいないんだ。だから後悔なんてしてないさ。全くね。移住していなかったから、アーティストとしてここまで成長することは出来なかったんじゃないかな。まぁ今となればこうやって推測することしか出来ないけど。

DJ Oji Interview

HRFQ : あなたはこうして夢だった日本の地を踏んでいるわけですが、次の目的地はどこですか?あなたが次に目指していることを教えてください。

DJ Oji : 次の目的地として、夢のリストに並んでいるのは南アフリカだね。音楽的には、何だろうな。日本に来て、レコード・ショップに行ったり、音楽を聴くことでかなりインスパイアされたんだ。レコード・ショップが何軒もあるのには驚いたよ。アメリカにはそんなにないからね。その都市に一軒はあるだろうけど、ほとんどの人はネットで音楽を買ってるよ。最近のアナログ・マーケットは雲行きがはっきりしないけど、レーベルの数は増え続けてるから、いい方向に進むんじゃないかな。今回のツアーを通して、もっとクリエイティヴになりたいと思ったね。今後も自分の腕に磨きをかけて行きたいよ。次なる僕の使命は、新しいヴォーカリストを見つけることかな。新しいアーティストと仕事をしてみたいんだ。まだ実現はしていないんだけど、今仕事をしてるヴォーカリストたちが、家族の事情とかいろいろあって忙しすぎてね。それに、僕がバルティモアとDCの真ん中あたりに引っ越したことも重なって、いろいろなことが変化し始めたんだ。だからこれを機に物事を前進させたいのさ。だから音楽的には、僕自身でさえも今後に期待してるという感じ。プランはしないからね。ただ何かが起こるのを待つんだ。

HRFQ : 今日は有難うございました。

DJ Oji : こちらこそ

HRFQ : 今後も良い “Spiritual Journey” を続けられることを願っています。

DJ Oji : 感謝するよ。アリガトウ!

End of the interview

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