プログレッシヴ界のトップ・スター Desyn Masiello、中低音の魔術師との異名を持つ Omid16B らと活動を共にし、現在シーンの中で注目を集めつつある期待の DJ / プロデューサー Demi こと Demy Jarkovitz が、世界を舞台に活躍する日本人 DJ Osamu M 主宰のイベント Submerge に出演するため、来日を果たすことが決定した。ダンス・ミュージック界の重鎮 Danny Tenaglia や BBC の Radio 1 の看板 DJ Pete Tong にも太鼓判を押された本物の才能を目の当たりにできるこの絶好のチャンスに際して、HigherFrequency では E Mail インタビューを敢行。 Deeper Substance に込めた熱く深い想いや、その成り立ち、そして気になる今後の活動予定などについて、彼らしいユーモア溢れる語り口で応えてもらった。
> Interview : Nick Lawrence (HigherFrequency) _ Translation & Introducion : Yoshiharu Kobayashi (HigherFrequency)
HigherFrequency (HRFQ) : あなたのスケジュールをチェックしたのですが、日本、ロシア、ブラジルなど、本当にたくさんの国を周られていますね。また、あなたが初めてレジデントを務めたのはインドネシアでした。なぜあなたのサウンドはこんなにも幅広い人たちから受け入れられているのだと思いますか?
Demi : いい質問だね。実際、自分が世界中の色々な人たちに届く音楽をやっているなんて考えたことが無かったよ。だから、どうして地元のノース・ロンドンで金曜日にレギュラー・イベントをやるだけじゃなくて、世界中から呼んでもらえるようになったのかはよく分からないな。でも、僕はいつもどこかをうろつき回っているような性格だったから、DJ が本業になる前も、色々な土地を旅して回っていたよ。
僕はこれまでどんな音楽だって買ってきたし、色々な音楽の要素をつなぎ合わせることだって平気でやってきたんだ。だから今じゃどこに行っても、僕が予期せぬ一晩を届けてくれることを期待してくれているような感じだね。それに、自分の人間性や本当の自分をちゃんとみんなに表現できているのも、たくさんの素敵な友達ができて、世界中のオーディエンスにまで音楽を届けることできる理由の一つだろうね。僕はプレイを聴いてくれる人と同じくらい DJ を楽しんでいるし、セットの中でもそういった気持ちをしっかりと表現しているつもりさ。オーディエンスが5人だろうと50人だろうと500人だろうと5000人だろうと関係ないんだ。僕が楽しんでいるかどうかは、DJ ブースでボールみたいな形をした大きなカーリー・ヘアーが興奮して上下に揺れているのをみればすぐに分かるよ。
HRFQ : またイビザの Space に戻る予定はありますか?'97年にあなたが初めてダンス・ミュージックを体験したところでもありますよね。
Demi : 8月6日の We Love Sundays で、生まれて初めて Space でギグをするんだ。ラインナップは本当に凄くて、JZ が彼の誕生日にプレイしたり、あの Mr. Tenaglia と僕が2年前にロンドンで一緒にプレイして以来、久しぶりに一緒にやったりするんだよ。初めて Space に行ってからしばらく経つけど、物事がこんなにも上手く行くなんて本当に素晴らしいことだね。Space でのギグは、僕にとって本当に特別な瞬間になると思う。
HRFQ : 最近、あなたは Deeper Substance Records を立ち上げましたが、Deeper Substance は既に5年もの間続いているパーティーの名前でもありますよね。この Deeper Substance のパーティーと、レコード・レーベルについてお話を聞かせてもらえますか?
Demi : まずパーティーに関して言えば、最初の Deeper Substance のパーティーは、婚約パーティーだったんだ。そう、僕は当時婚約していて、結婚する予定だったんだよ。Farrindgon で Fabric のすぐ近くにこぢんまりとした雰囲気のいいクラブをみつけたから、思いつく限りの友達を呼んで、道端を歩いている人も誘ったりしながら5時間近くパーティーを続けたんだ。誰でも参加できるようなかたちでね。それで、そのパーティーがかなり面白かったから、また来月もやろうということになったのさ。そのうち Deeper Substance は月一回行われるレギュラー・パーティーになって、4年くらい続いたんだ。初めての夜のことは今でも鮮明に覚えているよ。6人くらいの仲間で機材を引っ張って、大きな白いバンの後ろに CDJ やスピーカーや DJ 機材を積み込んで、みんなで騒ぎながら車を走らせたんだ。ギグの準備が出来たときに自然に生まれてくる、あの熱意とエネルギー、そして社会的な無責任さが入り交ざった気持ちは今でも忘れられないよ。
それから何年か経って、 Deeper Substance は自然と月一回のイベントではなくなっていったんだ。僕の海外でのギグが多くなって、月一回のペースでいいパーティーを開くために必要な時間を十分に取るのが難しくなってしまったからね。Deeper Substance としての活動の全ては、流れに身を任せたり、自分の本能に従ったりしながら続けてきたんだ。それに Deeper Substance は、僕にとってはただのパーティーではなくて、もっと深い意味を持つものだった。だから、レーベルを始めたのは自然な成り行きだし、レーベルもジグソー・パズルのパーツの一つのようなものなのさ。最初から Deeper Substance は、僕らが愛する音楽という力強いものへの情熱を表現する場だったね。音楽は僕にただ目の前にあるもの以上のことを考えることを教えてくれたし、そういう考え方は僕の人生そのものにも影響を与えたんだ。つまり、音楽もジグソー・パズルのパーツの一つみたいなものだということさ。
僕たちがやってきたパーティーやそこで流れる音楽はたくさんの人たちをつないできたけど、それをある程度達成できたと思えたときが僕にとってのスタートだったんだ。レーベルは、人をつなぐということの延長にあるものだし、新しいプロデューサーたちのための場でもあるのさ。新しいプロデューサーたちは
Deeper Substance で自分の音楽的な能力を試すことができるんだ。一言で言ってしまえば、僕らはみんな自分自身の中に Deeper
Substance の精神を持っているということ。つまり、僕らはみんな素晴らしい個性を持った人間だということさ。でも、そのレベルに達したり、自分の能力や本当の自分自身を完全に理解するには、何かしらの要素が必要なときもあると思う。僕らはみんな素晴らしい個性を持った人間だという
Deeper Substance の考え方が、自分自身を理解するために必要な要素の一つだって僕は信じているけどね。
HRFQ : あなたはこれまでに Deeper Substance から2つの作品をリリースしています。プロデュース業はどれくらい前から始めたのですか?また、なぜプロデュース業を始めたのでしょうか?
Demi : 何よりも、僕はまず DJ なんだ。DJ をするときは、本能の赴くままに、そして心の底からプレイしているよ。スタジオにこもって魔法のように素晴らしい音楽をつくり出そうと膨大な日数をかけて努力している素晴らしいプロデューサーたちと同じ気持ちさ。何時間もかけて何枚ものレコードを聴き込んで、クラブでプレイするときに完璧なセットを披露してくれる DJ も一緒だろうね。最近、僕はそういった気持ちをスタジオに持ち込もうとしているんだ。これは絶対に避けられないことなんだよ。だって、僕は音楽についてもっとたくさんのことを知って、サウンドの隅々までを理解したいと思っているからね。これまでの2枚のシングルは、自分でも DJ ツールだと思っているよ。その2枚の作品をつくることで、僕は DJ や音楽というものをもっと理解しようとしたんだ。'Gearbos' や 'D-Drive' ではヒットを狙ったわけではなくて、それよりも僕がそれらの曲にどういった気持ちを込めたか理解してもらう方が大事なのさ。でも、DJ である僕のやっているレーベルが結構いい感じでスタートを切れたのはかなりラッキーだったと思うよ。
HRFQ : SOS は最近パーティーを開催していますし、今年の始めにはエッセンシャル・ミックスにも登場しましたね。Omid16B、Desyn、そしてあなたはいつどうして、どのようにして SOS を始めることにしたのですか?
Demi : 僕が Omid や Desyn を説得したんだ。選択の余地も与えないくらいにね。「お前ら、そろそろ自分たちの出番だと思わないか?」って、最終的にはこのありえないくらい大きな頭をした男が、気ままな自由人たちの力を集結させて、シーン初の Speedo のスイミング・パンツを穿いた DJ チームを結成したんだ(笑)'04年のイースター・サンデイのときに開催した初めてのパーティーは完璧なものだったね。疑いの余地も無く、あれは新しいことの始まりだったよ。
HRFQ : SOS は Ministry of Sound から新しいミックス CD をリリースする予定になっていますが、今後 SOS からも何か新しいリリースの予定はあるのですか?
Demi : あるとも。現時点ではそんなに数は無いけど、これから面白そうな音楽をちょっと探してみるつもりさ。
End of the interview
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