HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Coldcut


'80年代半ばから活躍し、サンプリングやオーディオ&ヴィジュアルの融合など、常にダンス・ミュージック・シーンに新しい風を吹き込んできたパイオニア、Jonathan More と Matt Black からなるベテラン・ユニット Coldcut。UK ブレイクビーツ・シーンを代表する Ninja Tune の創立者としてもすっかりお馴染みの彼らが、11月25日(金)に幕張メッセで開催される Electraglide に出演するため、久々に来日を果たすこととなった。

来年早々には前作 "Let Us Play"より7年半ぶりとなる待望のオリジナル・アルバムをリリースすることが決定している彼らに、HigherFrequency が来日直前e-mail インタビューを決行。ポリティカルなメッセージが込められたニュー・トラック "Everything is under control" 、気になるニュー・アルバムの内容についてなど訊くことが出来た。

> Interview, Translation & Introduction : Kei Tajima (HigherFrequency)

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HigherFrequency (HRFQ) : 前回来日なさったのは、2004年の3月でしたよね?今までに何回くらい来日されているのですか?

Coldcut : そうだね。トータルで15回来日してるよ。

HRFQ : 今回は、Electraglide という日本でも随一のダンス・ミュージック・フェスティヴァルでプレイされるわけですが、Electraglide については、話を聞いたことがありますか?

Coldcut : すごく大きくて、成功していて、進んだフェスティヴァルだって聞いてるよ。昨年 Hexstatic がプレイして、すごく楽しんだみたいだね。

HRFQ : Electraglide では、Hexstatic や Tomato など、音楽と映像を融合したショーを展開するアーティストが多数出演していますが、今回あなた方も音楽に映像をミックスしたパフォーマンスをなさる予定ですか?ライブ・セット・アップについて少し教えてください。

Coldcut : 僕たちは音楽と映像をミックスしたショーを15年もやり続けてきているんだ。もちろん今回のショーでもフルにオーディオ&ヴィジュアル・ショーを展開するつもりだよ。僕たちがこれまでの8年間 'Let Us Play' のショーでやってきたように、エレクトロニック・ミュージックの映像に新しい基準をつくっていきたいんだ。

HRFQ : DVJ-X1 を使われていますか?DVJ-X1 に対してどのような意見を持っていらっしゃいますか?

Coldcut : DVJ-X1 は音楽と映像をミックスしたり、スクラッチしたりするのには抜群のインターフェイスだと思うし、VJAMM も素晴らしいと思う。僕たちにとっては、自分たちのカスタム・メイドのミキサーと一緒に使うのがベストな方法なんだけどね。

HRFQ : あなた方は音楽と映像をミックスさせたパイオニアであると同時に、サンプリングを世に広めたことでも有名ですが、はじめにどういった経緯でサンプリングした音で曲作りをし始めたのですか?

Coldcut : 僕たちが始めたときは、まだサンプリングという呼ばれ方はしていなかったんだ。それに、僕たちが一番初めにリリースしたトラックで使用していた楽器は、ターンテーブルだけだったしね。そのつくり方も、Double Dee や Steinskiといったヒップ・ホップのアーティストや、Steve Reich といったパイオニアの音をコラージュするという方法を継いだものだったんだ。

HRFQ : 今までサンプリングした音の中で、一番おかしなものを教えてください。

Coldcut : 彼女との大喧嘩。

HRFQ : 最近のスタジオ・セット・アップについて教えてください。

Coldcut : たいていはこの " Spacelab "と呼んでいる僕のスタジオで働いてるんだけど、ここはいろいろなつなぎ方の出来る違ったタイプの機材でいっぱいなんだ。最近では、ラップトップと midi コントローラーで仕事をすることが多くなってきているけどね。その方が、ヴァンの中とか、いろんなところで音楽がつくれるから好きなんだ。

HRFQ : 10月22日には、EP " Everything is under control " をリリースされますね。それについて少しお話していただけますか?

Coldcut : もともと 僕たちは Francis E. Dec (ニューヨークに住む、または住んでいたと言われる謎の人物、陰謀論や、人種に関する様々な記事や録音を残した)にすごくインスパイアを受けていてね。彼のモノローグは Ninja Tune のウェブ・サイト用に10年以上前にサンプルしていたんだけど、今回最もインスパイアを受けたと言えるのは、アメリカの Robert Anton Wilson というかなりサイケデリックな考えを持った思想家の作品かな。彼は陰謀論を創案したと言われているんだけど、このトラックはそんな二人の思想家による陰謀論が、かたちは違えども、「 "彼ら" によって "僕ら" がコントロールされる」 という同じ性質をシェアしているということを示しているんだ。

HRFQ : 今トラックには、John Spencer と Mike Ladd が参加していますが、今回彼らフィーチャーすることになった経緯を教えてください。

Coldcut : ヴォーカリストが必要だったから、彼らに連絡して、実現したんだ。 "全てはコントロールされている" (everything is under control) ってわけさ。Mike Ladd は the Infesticons として Big Dada をスタートしたことで、僕らには馴染みがあったし、John Spencer は James Lavelle とのコラボよりもっといい仕事をするべきだと思ったんだ。

HRFQ : 来年にはニュー・アルバムをリリースする予定でいらっしゃいますね。それについて少しお話をしていただけますか?

Coldcut : ここに歌で表現してみるよ。「彼らの頭はプラスティックの神様に釘付けになっている…彼女には、そんな真新しい鼻は必要ない。彼には奴隷によってつくられた靴も服も必要ない…銃は真のターゲットに向けられている」欠陥した魂についてのアルバムだよ。

HRFQ : 今までに、小山田圭吾 (Cornelius) や Rei Harakami 、DJ Kentaro をはじめ、たくさんの日本人アーティストとコラボレーションなさっていますが、これはあなた方がかれらに特別な才能を感じているということなのでしょうか?

Coldcut : 僕はこの世に存在する誰もが特別な才能を持っていると思っているんだ。問題なのは、その神から与えられた才能を解放する力があるかどうかなのさ。そうは言っても、僕自身が日本や日本人に対して強いコネクションを感じていることは確かだよ。日本に存在する、生き物とテクノロジーとの間の愛情に惹きつけられているんだ。

HRFQ : 近い将来、再び日本人アーティストとコラボレーションする予定はありますか?

Coldcut : 今はアルバムのプロモーションで手一杯だから、しばらくはないね。将来的には日本人アーティストを含む、たくさんのアーティストとコラボレーションしていきたいと思っているよ。だけど、www.nowthemovie.org に行ってもらえば、いつでも、誰でもコラボレーションに参加できるようになってるんだ。ここで寄付してもらった素材から映画をつくっているんだよ。

HRFQ : 今後Ninja Tuneから予定されているリリースがあれば教えてください。

Coldcut : 今後もファンキーなリリースが山ほど予定されてるよ。Cinematic Orchestra に Fink、それに僕らの新しい看板アーティスト Zero dB のリリースがあるよ。Zero dB の Chris とは何度か素晴らしいパーティーで一緒にDJをしたことがあって、このリリースをずっと心待ちにしていたんだ。

HRFQ : 日本のファンにメッセージをお願いします。

Coldcut : 長年のサポートに感謝してるよ。そのおかげで僕らも活動を続けていけるんだ。僕からのメッセージは "愛" さ!

End of the interview

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