HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

AIR Interview

昨年の9月にソロ・アルバム "Darkel" をリリースしたばかりの JB Darkel と Nicolas Godin によるフレンチ・ポスト・ロック・ユニット Air のニュー・アルバムが遂にリリース。前作 "Talkie Walkie" から約3年ぶりとなる本作 "Pocket Symphony" は、Pulp の Jarvis Cocker や Divine Comedy の Neil Hannon をゲスト・ボーカルに迎え、さらには琴や三味線といった日本の伝統的な楽器までも取り入れたという彼らの新たなる世界観が堪能できる作品に完成している。そんなアルバムのリリースを控える彼らが今年の1月に来日。 HigherFrequency のインタビューにおいて、今回のアルバム制作についてはもちろん 、JB Darke によるソロ活動についてのエピソードなど、大いに語ってくれた。

> Interview : Nick Lawrence (HigherFrequency) _ Translation by Kei Tajima (HigherFrequency) _ Introduction by Masanori Matsuo (HigherFrequency)

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HigherFrequency (HRFQ) : はじめまして。まずニュー・アルバム “Pocket Symphony” の話をお伺いしていきたいと思います。この作品が、過去のアルバムと異なる点とは何ですか?

Jean-Benoit : このアルバムは以前よりピースフルな感じがするな。クレイジーって感じではないよね。ある一定の狂気は感じられるけど、ピースフルな狂気って感じかな。ソウルの感じられる作品にしたかったけど、ある程度キャッチーな部分は持っていたかったんだ。今回のアルバムには、Jarvis Cocker と Neil Hannonと一緒に作った曲もあるし、アルバムの構成もきちんと出来ていると思うんだ。スタートがあって、中間があって、エンディングがある。全体を通して、ストーリーを持たせたかったんだ。それに、今までよりもヴァラエティーに富んでいるかもしれないな。歌モノもあるし、生楽器の入った曲もあるし、歌詞がちょっとしか入っていない(…良い歌詞だけど!)いかにも Airといった曲もあるしね。

HRFQ : 楽曲を作る際、プレスやその Air らしい楽曲を好んでいるファンの期待に応えたいという気持ちから、プレッシャーを感じたりすることはありますか?

Nicolas : いいや。人の意見に左右されないのが、僕たちAir の特質なんだ。作品をリリースした後の人々の意見は気になるけど、楽曲を作るときは、人々を喜ばせることより自分たちを喜ばせたいのさ。

HRFQ :“TalkieWalkie” は全世界で 80万枚ものセールスを記録したそうですね。セールスについて気に掛けられたりすることはありますか?今回のアルバムを前回以上のヒットにしたいという気持ちはありますか?

Nicolas : いいや、考えないよ。最近は特にね。だってヨーロッパではデジタル・ダウンロードが発達していて、CD のセールスにはあまり大きな意味がなくなって来ているんだ。こういった動きによって、アーティストがもっと自由に音楽を作れるようになるといいよね。フランスの音楽シーンが注目され始めた時も、初めはみんなオリジナリティーのある楽曲を作っていたのに、しばらくすると、セールスを重視した音楽が出回るようになったんだ。僕たちが好きだったバンドも、ソウルの感じられない音楽を作り始めた。だからセールスが重要視されなくなれば、人々はなぜ音楽を作るのか改めて考え始めるはずだよ。すべてはいい音楽を作るためなんだ。僕たちはソウルを失ったりしない。だから今もこうして音楽を作り続けていられるんだ。

HRFQ : 自分たちの作りたい音楽を作って、その他のことはあまり気にしないということですね?

Jean-Benoit : その他に僕らが心がけているのは、常に変化し続けるってこと。それぞれのアルバムごとに異なった方向性を持つようにしているんだ。僕らのファンが同じ様なアルバムばかり聴きたいとは思わないからね。彼らは驚かされたいんだ。

Nicolas : パリではファッションがものすごく重要視されているんだ。僕らはフランス人だから、毎年着る洋服を変えなかったらダメってことを知ってるのさ。体は同じだけど、洋服はアルバムごとに変えている…これは僕らの文化の一部なんだ。

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HRFQ : 今回のアルバムで、その洋服の一部は琴や三味線といった日本の楽器で彩られていましたね。この2つの楽器を取り入れることになった経緯を教えてください。

Nicolas : そうだね。まず日本の音を音楽に取り入れたくて、三味線を習おうと思ったんだ。そしてレッスンを受けに先生の家に出向いた時、琴を見つけてね。それまで琴なんて見たこともなかったし、聞いたこともなかった。だから楽器を触った時はヤバいと思ったよ!僕らはハープが大好きで、琴はハープみたいなものだからね。

HRFQ : ごく自然に音に溶け合っていますよね。音楽の中心として楽器が強調されていると言うより、音の一部として全体に上手くフィットしているように感じました。

Nicolas : そうだね。君の言うとおり、音全体に上手くフィットしていると思うよ。楽器を始めてトライした時から、この2つの楽器が僕らのサウンドに合うということは明らかだった。もちろん、管楽器やアコーディオンでアルバムを作ったりしたら、話は別さ。僕らの音には合わないよ。ただ琴や三味線を弾いた時、僕らのサウンドに合う音色がしたんだ。だからこそ、この2つの楽器を選んだとも言えるね。

HRFQ : 今回ヴォーカルを担当した Jarvis Cocker や Neil Hannon についてはどうですか?この二人の起用も似たような流れだったのでしょうか?自分たちの音に合うという理由で選びましたか?

Jean-Benoit : いいや。この二人に関しては、彼ららしく歌って欲しかった。楽曲に異なった側面を持たせたかったから、彼らには自由に歌ってもらったのさ。だからこの2つの楽曲には、ヴォーカリストの個性がたくさん詰まっているんだ。彼らは二人とも低くて感傷的な歌声をしていて、僕らのサウンドは女性的だから、まるで低い声をした女性が歌っているような感じになってるんだ。

HRFQ : アルバムのレコーディングを終了されて、やっと一息という感じですか?それとも今の方が忙しいですか?

Nicolas : 今の方が忙しいよ。アルバムのプロモーションをしなきゃならないからね!(笑)3月30日にはワールド・ツアーをスタートして、それから1年間はツアーに出っ放しさ。でも楽曲をプレイ出来るからまだいいんだ。今回はプロモーション来日だから楽器が弾きたくてしょうがないよ。今日の朝ホテルの部屋にいる時も、ギターが弾きたくてどうしようもなかったんだ。今度海外に出る時はギターを持って行くべきだね。ただギターを持ってくると空港の税関で怪しまれるからな…どこかの国に行く度にギターを買うしかなさそうだね。

HRFQ : J.B. 、あなたは最近ソロ・アルバムをリリースされたばかりですが、一人で活動をされてみていかがでしたか?変な感じでしたか?

Jean-Benoit : そうだね、たまに変な感じがしたかもしれない…一人だからね(笑)何もかも一人でやらなきゃいけないから、大変だよ。例えミスをしても人のせいに出来ないしね。今回のアルバムを通して学んだことはたくさんあったし、僕らが Air としてスタートしたばかりの、10年前の地点に振り返った感じもあったね。

HRFQ : Nicholas、あなたもソロで活躍する予定はありますか?

Nicolas : う〜ん…ないかな。僕はスタジオが終ったらパーティーしに行くけど、J.B. は別のプロダクションの為にスタジオに戻る。僕は曲を作るのにちょっとした息抜きが必要なタイプだし、ソロ・ワークをする時間がないんだ。

End of the interview

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