メンバー : David Dewaele, Stephen Dewaele
スタイル : エレクトロ
出身地 : ベルギー
関連プロジェクト : Soulwax
関連 レーベル : PIAS、Waxedsoul Recordings
オフィシャル・サイト : www.2manydjs.org
‘00年ごろにクラブ・シーンで一世を風靡したマッシュ・アップ / バスタード・ポップのパイオニア的な存在であり、今もなお世界中で絶大な人気を誇っているベルギー出身の
David Dewaele と Stephen Dewaele からなる兄弟デュオ 2 Many DJ’s。テクノ、エレクトロ、ロック、ヒップ・ホップ、ソウル、ファンク、ポップスなど、ありとあらゆるジャンルの音楽を解体・再構築し、更にそれをミックスしていくという衝撃的なスタイルは、瞬く間に世界を制覇し、数え切れないほどのフォロワーを生んできた。しかし、ほとんどのフォロワーが瞬間的に消費されて終わっていくのに対し、彼らがこれほどまでの長きにわたって人気とクオリティを保ち続けているのは、地元ベルギーでは有名なラジオ
DJ として知られている父 Zaki の膨大なレコード・コレクションに幼い頃から親しみ、幅広い音楽的な知識をじっくりと養ってきたからであろう。
2 Many DJ’s として活動を始めた正確な時期は不明だが、Dewaele 兄弟が中心メンバーとなっているロック・バンド Soulwax
としては、’95年にベルギーはブリュッセルの名門レーベル PIAS よりシングル ‘Second Handsome Blues’、そしてファースト・アルバム
“Leave The Story Untold” をリリースしてデビューを飾っている。そして、その3年後となる ’98年にはセカンド・アルバム
“Much Against Everyone’s Advice” をリリースしており、その中に収録されていた ‘Too Many DJ’s’
は、彼らのユニット名の由来となった曲として今では有名である。
‘02年には、PIAS から 2 Many DJ’s 唯一の公式盤 “As Heard On Radiosoulwax Pt.2” を世に送り出す。Peaches
や Felix Da Housecat などのエレクトロ・チューンから、Sly & The Family Stone のようなファンク・クラシックス、そして
The Stooges や Velvet Underground などのロック・レジェンドまでを、フレーズごとに分解して再構築、そしてそれを更にミックスしていくという前例のないスタイルは、リスナーに新鮮な感動と驚きを与えると同時に、Muzik、DJ
Magazine、Q Magazine、Mojo、The Face、Time Out、New York Times、Evening Standard
などのメディアを中心に大絶賛を呼び、数多くの音楽誌で ‘02年のベスト・ミックス CD に選ばれたのであった。
ちなみに、この ”As Heard On Radiosoulwax” シリーズは現在 “Pt.11” までがプロモ盤を装ったブートレグとしてリリースされており、
レーベルは全て PIAS 傘下の Waxedsoul Recordings からとなっている。このミックス CD シリーズが公式盤としてリリースされていないのは、6ヶ月以上の歳月をかけて彼らが行ったという楽曲の使用許諾がレコード会社から降りなかったからであり、唯一使用した音源全ての許可が下りたのが、正式にリリースされた
“Pt.2” のみだったのだという。また、”Pt.2” の公式盤のジャケット写真がほぼ全て塗り潰されているのは、’70年代のワイルド・パーティーでの1コマを撮ったオリジナル盤のジャケット写真の使用許諾がカメラマンから下りず、裁判も辞さない構えであったかららしい。
そんな波乱含みのリリース活動が逆にパンク的な精神として人気を呼ぶこととなった彼らは、DJ として ロンドンの Fabric や パリの Le
Pulp といった名門クラブや、I Love Techno、Creamfields, Gobal Gathering などの大型フェスティバルにも次々と出演。また、日本にも
‘03、’04年の Electraglide で来日を果たしている。そして ’04年には、母体となるバンド Soulwax として6年ぶり3枚目となるアルバム
“Any Minutes Now” をリリース。イギリスを代表するエレクトロ / エレクトロ・ハウス系レーベル Output のオーナーである
Trevor Jackson がジャケット・デザインを手掛けたことでも話題を呼んだ同作は、これまでの純ロック的なサウンドから、ディスコ・パンク勢などからの影響も感じられるダンス・ビートを取り入れたものに変化を遂げており、2
Many DJ’s から彼らを知ったファンにとっても受け入れやすい作品に仕上がっている。翌 '05年には、骨太なバンド・アンサンブル主体の同作をクラブ向けにリアレンジした
“Any Minutes Now” の派生的な作品 “Nite Versions” をリリース。DJ ミックスのように全ての曲がつなげられているこのアルバムは、元々母体であったはずの
Soulwax が巨大化していく 2 Many DJ's に吸収されつつあることを示唆する作品であり、以降の彼らの活動の分岐点となるものとして象徴的である。
その後、”Nite Versions” を生ライブで再現していくツアー Radiosoulwax Nite Versions を、Erol
Alkan、Who Made Who、Headman、Simian Mobile Disco など豪華ゲストを引き連れて敢行。このツアーはヨーロッパ中で大きな話題を呼び、彼らの人気の高さを改めて証明するものとなった。また、’06年には
Fuji Rock Festival で来日し、その Nite Versions のライブと 2 Many DJ’s としての DJ を披露してくれることが決定。彼らの最新モードを日本の代表的なフェスティバルで体験することができるチャンスを、多くの日本のファンが心の底から待ち詫びている。(Yoshiharu
Kobayashi ; HigherFrequency)