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Hiroshi Watanabe

Hiroshi Watanabe Column

Text & Photo : Hiroshi Watanabe

Hiroshi Watanabe Interview

皆様こんにちは。大人になって、年を重ねる度に誰もが感じる、この時間というもののスピードとは何とかならないものでしょうかね?でも、このスピード感とは結局はもっと大きく、宇宙規模で見てしまうと更に更にはかない、悲しい程の短い時間となり、人が一生を感じる全ての時間をまとめたとしても、それは1ミリにも満たない程のアっという間の出来事となってしまうのですよね。とても不思議なことです。でも事実なので、その分を何とかして精一杯に生きないと、ほんとに勿体なく思うのです。生きている内にどれだけ沢山の人と素敵な出逢いをし、経験をし、お互いの気持ちや思い、そして助け合いをしていけるのか。時に人は失敗をし、時につまずくことだってもちろんある、時に出逢いによって辛く思うこともあるよね。でも、全ては良いとか 悪いとかではなく、経験として自分がその後どんな風にそれらの出来事を生きる上で役に立てて行くとこが出来るのか?これしかないと思う。結婚をしても離婚をしてしまう人だっている。でも何も無駄でもないし、いけないことをした訳ではない。何度も経験を積み、人生を一生懸命ならば良いのだと思う。僕の両親も実は離婚をしている。子供の立場としていつ考えてもこの事実は正直悲しいことではあるのだけれど、でも、それでも今、現在自分が親となった以上は、そのことをそっと心の中に留めて置きながらも、しっかりと前を向かないといけない。大事なことはやはり、良いか悪いかではなく、起こった事実をどう考え、受け止めるのか?だけなのだろうと思う。今年、35歳となる自分はこの頃はこんなことを考えているのだ。解斗が今年早くも小学生となることからも、ちょっと焦りを実は焦りを隠せないでいる(笑)頑張ろう。

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最近、どうも自分は音楽を作るとき、以前よりも更に生活そのものが意識として反映していることを感じる。 期限のある制作の仕事はそんなことは言ってはいられないのでやる!のだけど、こと自分自身の何かを生み出す作業に関しては、どうしても「今の自分はどうか?」と心の中で自身に向けて常に尋ねている。もしも自分の中でそれが「今はダメだ」と答えが出てしまうと大変なことで、精神のバランスを整えないと本気で作るという気持ちが持てていないことになる。これは、実は新たな僕にとっては恐怖となり、不安な状況でもある。以前の様に好きなとき、いつでもガ〜っと作業をする!という形態がいつの間にか変化をし、無くなっていた訳だ。 それだけ考えることの幅が多くなった証拠なのか? これが大人ということなのか?ちょっと分からないのだけど、でも確かに以前よりはすんなりいつでも作れる!!!という感じではないことは事実である。例えば、この感覚がずっと毎日続いてしまうと、自動的に作らない自分へ不安を抱き、悪循環にもなる。それをどうにか改善しようと色々と考えると、やはり自分の精神バランスを制作という部分へ向けて軌道修正をし、意識をそこへ向けて高めることしかない。常に自分に僕は決して逃げているのではなく、作るという意識をもっともっと上へと向上させたいのだと言い聞かせ、必要のない不安と葛藤をし、最後は飛び越えて行く。最近はこの繰り返しが多い。一度作り上げる意識に自分が入り込んでしまえば、こっちのもので、後は作業に費やす時間やパワーというものは自然に流れ、湧き出て来るので早い。作るのに必要な時間自体は以前とは変わらないのだけど、ただ違う事は心の準備と整えが必要になったということである。恐らくはスポーツ選手が試合本番に向けて意識を高め、精神を集中していく感じと近いのかも知れない。大事なことは本番、自分に言い換えれば、スタジオで自分の機材の前に座り、作ると思い立つ瞬間へ向けて気持ちを高めていくこと。イメージ・トレーニングというもの実はとても役に立ち、音楽を作る場合でも非常に活用的である。僕の場合は自分が作るという姿をイメージし、心地よく作業が流れ、素晴らしい奇跡が起きたことを想像する。これは LIVE、そしてDJの時も同じ様に役に立つ。例えば、初めて自分が行く場所などで緊張をしたり不安に思う時がある。そういう場合はこのイメージ・トレーニングによって心を落ち着かせ、気持ちを安定されることが出来る。大げさに思われるかもしれないけど、どんな活動であっても真剣であり、思いや真心を込めることは非常に大切であり、大事なことな訳だからね。そうして、出来上がった素敵な曲や、お客さん、もしくは呼んでくれたオーガナイザー、クラブ側の人びとと心が一体化出来た時には本当に嬉しく思う。双方で感謝し合える瞬間とは、そんな時にやって来るものである。表現というくくりで考えると、注ぎ込んでいる想いとは、ほんとにそれこそ人それぞれであり、どれが正しい訳でもないし、年齢によってだって変化する。若いパワーのみなぎる時にしか出来ないことも沢山あるし、何でも良いのだと思う。常に真剣であって精魂を込めていていればね。

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昨年秋に制作をした"SOUND OF INSTRUMENT 01"という DJ MIX CD+DVD が、最近実に様々な面でお世話になっているギリシャの KLIK RECORDS から年末には現地で発売となっていましたが、やっと正規・日本版としても DVD のフォーマットを変換したものが同封され、日本でも発売となります。実は、僕にとっては MIX CD という形式での正式リリースは今回が初めてのことで、嬉しいことです。今迄、色々なオリジナル作品をリリースしてこれましたが、DJ MIX というのはなかなか機会が持てなかったもので、今作品は当然ながら思い入れも強く、結果、素晴らしい内容になったと思っています。MIX CD という形の中で何に思いを入れたかと言えば、オリジナル作品とは違う、他人の楽曲を使って自分を表現する訳なので、僕はその楽曲それぞれに出来るだけ気持ちを配慮し、スムーズな流れを意識しました。クラブでかけるのとは違い、勢いだけでは売り物として出してはいけないという思いもあり、使わせてもらえた楽曲制作者への配慮を最大限にミックスに活かそうと努力をしたつもりです。それぞれの制作者の人生の欠片のようなものである作品をまとめ、繋げて行く。これは非常に面白く、またセンシティブな作業だと感じましたが、それ故に、また楽曲制作とは一味違う出来上がった時の喜びがありました。良かったら是非聴いて下さいね。そして、昨年12月から今年1月中期にかけて、必死に制作した KAITO の 2nd ALBUM "Hundred Million Light Years"も遂に完成し、早くも現在4月の頭を目標にドイツ、KOMPAKT よりリリースの準備がされております。ジャケットやライナーも完成し、既にマスタリングも済んでおります。発売が非常に楽しみです。1枚目からもう気が付くと随分と時間が経ってしまいましたので、それだけに今作品へのまた僕の想いは大きく、正直にプレッシャーも感じていました。でも自分自身へのその思いをしっかりと受け止められることの出来る作品となりましたので、どうぞ楽しみにしていて下さい。実はこのアルバムタイトルには沢山の思いが込められています。始めに書いた宇宙規模での時間という意味も含んでいまして、生きていることへの再認識ということでもあると思っています。息子の名前から始まったこのプロジェクトは、自然にどうしたってこういうメッセージや意味が気が付くと込められている訳です。

Hiroshi Watanabe Column

こうして、きっとずっと人生ハラハラドキドキしながら、誰もが乗り越えて行くのだろうと思っております。楽しいこと、辛いことは順番にやって来たり、同時にやって来たり、色々ですが、是非これからも人生に真心を込めて、沢山の人々と連動をして行きたいと願います。そして僕にとっての写真活動とは、そんな音楽人生を支えてくれる、また一つの大切な心のバランスを整えてくれるものだと思っています。写真を撮っている時、それはほんとに幸せであり、心地よく、何でも忘れられる程。何かに悩んでいる時でもリセットさせてくれる。まだまだ活動の歴史は自分の音楽活動から比べれば浅いけれど、楽しさだけでもほんとに行動出来ています(笑)写真表現の奥深さを更に実感し、楽しさと難しさと、またそこで起こる出会いを味わいながら、また思うこと、それは、大切なことは続けることであること。(真心込めてね)いつまでもこうして、音楽と写真、を活動し続けて行きたいな。継続、、、、継続、継続は、力、、、、力、力なり〜!!!!!。ではまた。

HIROSHI WATANABE プロフィール

1971年東京、作曲家の父、ジャズピアニストの母の間に生まれる。 家の中には常に音楽が溢れている環境で育ち幼い頃より父親の使用するシンセサイザーへと自然に興味を持つ、それが現在の活動に繋がる原点、彼自身の独特な 音世界を創作するスタート地点となるのである。高校卒業後渡米し、ボストンのバークリー音楽学院にてMUSIC SYNTHESIS(シンセサイザー)を専攻。卒業までの刺激的な留学生活の中でテクノ、ハウス・ミュージックと出会いニューヨーク行きを決意する。 99年6月から本格的に日本に拠点を戻して以降は GACKT、松田聖子、パフィー、篠原ともえ、浜崎あゆみ、Sing Like Talking、星野晃代、CANON、PENICILLIN、工藤静香、小松未歩、meg、曽我部恵一、JAFROSAX、等々数々の日本人アーティストのリミックスを手掛け、資生堂、メナード、日新フーズなどのCM音楽制作、いしだ壱成主演のTVドラマ「ピーチな関係」への楽曲提供、また2001年、 2002年の秋に開催された新鋭のファッションデザイナー FRANCK JOSSEAUME 『HEART ATTACK』 Spring/Summer Collection 用楽曲を製作、2002年夏には現在日本を代表する舞踏家”HIRO TATEGATA”とのコラボレーション「TRYOUT2002夏/汚れなき痴人」で TATEGATA 氏のダンスに自身の持つ様々な音楽手法を取り入れたサウンドトラックを制作手掛けるなど多方面で活動している。

最近ではグラフィックデザイナーの北原剛彦氏とプロダクション「norm」を立ち上げ、2人のコラボレーションによる新名義“TREAD”で2001年の夏より現在に至るまでに4枚のアルバムをリリースする。同年の夏にはドイツ、ケルンにあるレーベル”KOMPAKT”より新たに KAITO という名義で 『BEAUTIFUL DAY』 『EVERLASTING』 『AWAKENING』 を立続けに発表し、02年秋にアルバム 『SPECIAL LIFE』 03年冬に 『SPECIAL LOVE』 をリリース。02年 からはヨーロッパにも活動の場を本格的に広げ、バルセロナ”SONAR Music Fesfival” ドイツのケルン”POPKOM”、ベルリン、スイス”VISION FESTIVAL”などでDJ、ライブを行う。また同02年より本格的に写真家としても活動を始め、渋谷”seco bar”青山”loop”といったクラブ・スペースや青山"eel's bed ギャラリー"にてより本格的な個展 『TINY BALANCE』 を開催、04年3月には青山"Sign"ギャラリーにて個展 『HEART to HEART』 を開催。更には音楽のフィールドを舞台音楽への世界へと広げ、03年末に岸谷五朗氏プロデュースよる森雪之丞氏のポエトリーリーディング 『POEMIX』 にオリジナル楽曲制作、04年春には辺見えみり主演、鴻上尚史氏の新作舞台『ハルシオン・デイズ』の楽曲制作などを手がけている。



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